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対偶を覚えよう

A:学歴が高い人は頭が良い

 これが正しいとしたら、その逆は何だろうか。

B:学歴が低い人は頭が悪い

だろうか。それとも、

C:頭が良い人は学歴が高い

だろうか。

 BはAの「学歴が高い」「頭が良い」のふたつをそれぞれ逆の意味にしたもの。CはAの「学歴が高い」「頭が良い」が登場する順番を入れ替えたもの。

 Aが正しい場合、BやCは正しいとは言えない。学歴が低く立って頭が良い人はいるだろうし、頭が良い人の中には学歴が高く無い人だっている。
 つまり、Aのように正しい文(命題という)があった時、逆の意味で正しい文を作るのは慣れていないと難しい。
 そんなのは常識で分かっていると思うかもしれないけれど、うっかりすると間違えがちだから気をつけた方が良い。

 では、Aが正しい場合、その逆の意味で正しいことは何だろうか。

 それは、頭が悪い人は学歴が高くない、だ。
 これは、Aの「学歴が高い」「頭が良い」のふたつをそれぞれ逆の意味にし、並び順を逆にしたものだ。これを論理学では、対偶たいぐうと言う。ちなみにBは「裏」、Cは「逆」と言う。

 何かの命題が正しいといえる時、その逆の意味で正しいのは対偶だということは覚えておくと良い。

 例えば、「僕はカレーが好きだ」という場合、正しいと言えるのは「カレーが好きでないのは僕ではない」となる。例えば、「ゲームは楽しい」の対偶は「楽しくないのはゲームではない」となる。
 何だかキャッチコピーのようだが、このようなキャッチコピーは対偶を利用して作られているのだ。

 会話の中で「逆に・・・」と言う場面は良くあるけれど、よくよく聞いてみると正しいことを言っていないけれど、何となく本当っぽく聞こえてしまうことがある。そんな時も、対偶を知っていれば、逆の意味で正しいのはこういうことという判断がつく。

「あなたはいつも注意しているのに、脱いだものを散らかしっぱなし」の対偶は「あなたが脱いだものを散らかさないければ注意されない」。決して「注意されなければ散らかさない」でも「散らかしているから注意される」のではない。

おわり
 

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