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映画『ジェミニマン』

 ヘンリーは知る限り世界一のスナイパーだ。そんな腕利きの狙撃手が引退を考え始めた時、かつての戦友ジャックに衝撃の事実を告げられる。最近狙撃した標的が悪事を働いた人間ではなく、一般人の科学者だったというのだ。ヘンリーが知らされていた狙撃対象についての情報が事実と違っていたということだ。その直後、ヘンリーはなぜかアメリカ国防情報局から命を狙われる羽目になる。寝込みを襲ってきた数名の暗殺者達を倒すと、ジャックが最後に伝えてきたロシア人に会いにヨーロッパに向かう。

 ストーリーに触れるとネタバレになってしまうから、話題はどうしても主演のウィル・スミスが一人二役こなした点に触れざるを得なくなる。しかし、50歳の自分と22歳の自分を演じている、というと少し嘘になる。若い方の顔は完全にデジタルだという。ウィルの演技をデジタルツインに繁栄させることで出来上がった映像は、VFXだとは全く気付かないほど自然だ。
 タイトルのジェミニは双子を意味する。だからジェミニマンは直訳すれば双子男という少し奇妙な感じになるが、デジタルツインだとすれば奇怪な感じは和らぐだろうか。
 
 命を狙われても悉く敵を倒す様はスナイパーの技量を超えて高い戦闘能力を有していることを物語っている。世界を逃げ回り、自分を殺そうとする張本人を探すだけの男に超絶のバトルスキルを備えさせることで、ただの復讐劇ではないことを予感させる。
 この作品を通じて、戦争と人間について少しだけ考えさせられなくもないが、この手の映画は何も考えずに楽しむのが一番いい。

 気配を感じて振り返った時にはもう遅い。
 ヘンリーが不眠症で悪夢で夜中に目を覚ますというのもムリはない。

おわり


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