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【読後想】『やっぱり高血圧はほっとくのが一番』★★★★★

夏休みの宿題で読書感想文が苦手だったけれど、感想でも書評でもなく、想ったことを勝手に書き留めるだけなら出来そうだということで記録する読後想。

先日受けた健康診断で、最初の検査項目が血圧測定だった。
そこで血圧測定器に表示された数値は私が見たことも無いものだった。昨年と一昨年はまあまあ普通レベルだったものの、以前に多少血圧高めと言われたことがあったが、その時に比べてもかなり高かったので正直驚いた。

これまで高血圧は良くないと聞いていた。
血管のダメージが大きくなって心筋梗塞になるといったような、つまり命に係わる重大な要因に成り得るという認識だった。特に、最低血圧が高いのも問題だと思っていた。なので、最高血圧もさることながら、下の血圧が110という数値を見てこれはまずいと思ったのだった。

血圧高めという人は身近に結構いて、知人の一人に最近血圧どうですかと聞いたところ、その人も在宅勤務をするようになったここ1年で急に高くなったという。それを聞いて、そうか自分も運動不足であることは否めないなと思い、サボりがちになっていたウォーキングを再開した。

ウォーキング中はいろいろと考えが巡るもので、高血圧は何故悪いと言われるのか本当のところは知らないことに、ふと気付いた。
高血圧に関する書籍は数多あって、人々の関心が如何に高いかを示している。関心が高いというよりも、血圧が高いですよと医師に言われる人が多いということだろう。血圧高めの人向けの特保飲料なんかもあって、世の中とにかく「高血圧=悪」「血圧を下げよう!」という図式になっている。しかも、その目安とされている数値が結構厳しい。

どうせ血圧に関する書籍を読むのなら、ちょっと違った観点で書かれているものの方が良いだろうと思った。何事も賛否両方の意見を知った上で判断すべきだろう。

という訳で私が選んだのは、これ。

松本光正著、『やっぱり高血圧はほっとくのが一番』(講談社+α新書)

私が素人ながら何となく思っていたことが書かれていて、正直安心してしまった。
安心したのは自分の高血圧っぽい症状がそんなに心配するレベルではないということについてであるが、むしろ別の意味で闇があることに気付いて不安になってしまった。

話は飛ぶが、巷で売られている風邪薬を愛用している人が多いと思う。
いわゆる風邪薬は風邪を治すものではなく、風邪に伴って生ずる嫌な症状を緩和するものだというのを私は知っていたので、風邪気味の時に人から「風邪薬は飲んだ?」と聞かれる度に違和感を持っていた。
また、風邪は病院に行って治るようなものではないし、ましてや風邪が抗生物質で治ることは無いと知っていた私は、風邪を引いたときに人から「病院に行って薬を貰ってきなさい」と言われる度に、これも違和感を抱いていた(私は大学時代に抗生物質を使って細菌などの研究をしていたこともあって、普通の人よりは知識があると自負している)。

例えば微分・積分といったような数学の話題については、多くの人が理系のことは良く分からないというスタンスでいて、仮にテレビで分かり易い解説がされていたとしても、その番組を見た人が我が物顔で人に諭すみたいなことは考えにくい。
対して同じ理系分野でも医学っぽいことについては、テレビ等で見聞きしたことが真実かの如くに俄か専門家となって喫茶店や井戸端で流布される。

例え高名な大学教授が言ったことであろうが、権威ある科学雑誌に掲載されたことであろうが、そのことが全き真実・真理であるという保証は無く、常に批判的精神をもって受け止められるのが科学界での常識だ。
医療分野の様々な話題がメディアに林立して、いろんな専門家がいろんなことを喋って、あたかも真実であるが如く人々に受け止められている状態は決して健全ではないと常々思っている。

とにかく「科学的に証明されていること=真実」と思い込んでいる人が多すぎると私は感じている。科学を知らない人にとってはそう思えてしまうだろうという想像は働くが。

閑話休題。

『やっぱり高血圧はほっとくのが一番』は読んだ方が良い本か。
高血圧の人もそうでない人も、読んでおくべきであると私は思った。だからと言って、この本に書かれていることが全て真実と鵜呑みにする必要は無いし、するべきではないが、読んで救われる人は多いのではなかろうか。
特に若い人の多くは高血圧なんて全くの他人事だと思うが、むしろそういう人ほど読んで欲しいと思った。若い人にだって親や親戚に高血圧で悩む人がいるだろうし、高血圧の問題以上の問題に目を向けておく必要があると思うからだ。

という訳で、私の評は★★★★★、星5つだ。
健康を意識している人はもちろん、俺は不健康上等だという人や医者や病院嫌いの人、老若男女、猫も杓子も読んでおいて損はない。

おわり

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