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倦怠感を後悔

 私はまだ新型流行り病を患っていない。
 罹患していないことは幸運なのだろうが、周囲では罹患してお休みする人を良く聞くようになって来たから、いつ自分の番がやってくるのかという不安ばかりが高まる。

 先週、久々に乗った航空機で臨席したサラリーマン風の男性が、マスクをしてはいるもののしばしば咳き込んでいた。その様子を横目で見ながら、この人がもしウイルスを保持していたら吸い込んでしまうではないかと思い息を止めたりしていた。しかしそうそう長く息を止めることなど出来ず、苦しくなって大きく吸い込んだりするものだから逆効果だなと思うに至り、そっと静かに呼吸する方を選んだりしていた。

 そして昨日、少し遅くまで眠っていた日曜の朝の目覚めは悪くなかったものの、口の中に高熱を出したあとのような違和感があった。これはいよいよかと思いながら、そうだとすれば機内のあいつから感染ったのだなと不安になった。不安になると過敏になるもので、ますます口の違和感は増し、味覚にも影響がある気がしてきて、更には全身の倦怠感まで生じてきた。
 これは少し横になった方が良いかとも思いながらも、どう考えても熱はなさそうだし眠くもない。かと言って元気は無い。これはきっと夕方か夜に発熱するやつだと思いながらビクビクして一日を過ごした。

 夕方になると、何もつまみになるような物が無いことに愕然としていたが、ちょうどそこに、ネットで注文していたナッツが届いた。これ幸いとナッツを齧りながらビールを飲んだ。飲むと何故か調子は悪くなく、正月用に買って残っていた日本酒にまで手を出した。

 いつもの時間に寝床に入ると、無性に暑くなかなか寝付けなかったので、いよいよ発熱かと思っていた。何となくうつらうつらを繰り返してたら朝になった。スマートウォッチの睡眠記録を見ると睡眠が浅かったことが見て取れた。やはり調子が悪いということだ。
 さて、起き上がってみてどうか。口の中の違和感は無い。節々が痛いということも無い。熱っぽさも全く無い。むしろ体調は良さそうだ。
 な〜んだ、また心配のし過ぎだったんだ、と自分の被害妄想と昨日一日をダラダラと過ごしたことを少しだけ悔やんだ。

おわり

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