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Portable Document Format

 要するにPDFのことだ。

 ビジネスで文書をやり取りする際のファイル・フォーマットとしてすっかり定着した。というかこれ以外のフォーマットは私の知る限り使われていない。
 もちろん、WordやExcelのファイルをやり取りすることもあるが、PDFと比べてどちらが公式感があるかと言えば、圧倒的にPDFだ。

 PDFが重宝されている理由の一つとして、簡単には書き換えが出来ない点が挙げられるだろう。もっとも、PDFのCM(PDFセキュリティチェック!というやつ)でAdobe自らが謳っているように、PDFの書き換えが出来ない訳では無い。
 しかしWordファイルに比べれば格段にRead Onlyなイメージが強いのは事実だ。

 数多あまた流通しているこのPDFファイル。個人的には昔から扱いにくいファイルだなと思っている。その思いは年々強くなっている。

 一番問題なのは、スキャナーでスキャンした文書のPDFファイルだ。最近ではスキャン画像と一緒にテキストデータが入っていることもあるが、スキャンデータはとにかく重い。とてもPortableとは言い難い。
 それに、テキストデータが織り込まれていない文書ファイルの場合、文書は画像であってテキストではないからコピペが出来ない。ある意味それが利点とも言えるのかもしれないけれど、引用したくても出来ないというのは利便性に欠ける。

 次に問題なのは、コピペがうまく出来ない点。
 スキャンデータでない場合は、文書のテキストを範囲指定でコピー出来るが、これがうまくいかないことが多い。コピーしたつもりが出来ていない場合や、貼り付けてみると文書が元の通りになっていないことがある。特に表形式の文書は実用上の埒外らちがいだ。

 そして本当に問題なのは、何でもかんでもPDFにしておけば良いという、この変な常識みたいな習慣だ。特段PDFにする必要が無いものも、とりあえずPDF化しようと思ってしまうようになった。
 Wordで書いてPDF化して、さらにパスワードを付けてメールで送る、といったようなことがあちこちで行われている。作業的に無駄が多いし、ストレージの容量をそれだけ余分に食う。
 PDFを使うことによる時間的、電気的な無駄がどれだけ多くなっているか。


 ここに来て、PPAP問題を懸念してメールの添付ファイルとして文書を送信することを取りやめる企業が増えている。それは予想以上の速さで広がっていて、大手企業の中で未だにメールの添付ファイルを許可している企業は3割に過ぎないという調査もある。
 そうなれば、これまでよりはPDF化する必要性も無くなるはずで、例えばGoogleドライブで文書共有するような使い方であれば、より効率的だ。

 そうなって欲しいものだが、これほどまでにスタンダード化したPDFという文書ファイル・フォーマットを皆が手放すのは時間が掛かるのかもしれない。ものごとを決める人たちは往々にして新しいものを毛嫌いする世代の人だったりするのだから。

おわり

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