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寒くて目が覚めた

 朝方寒くて目が覚めた。
 暫くは布団の中で脚を縮めて丸くなってやり過ごしていたが、どうにも足元がスースーするので起き上がってみてみると、布団から足が出ている。布団の縦横を間違えたまま寝てしまっていたようだ。

 寝ぼけていたので頭が回っていなかったが、考えてみれば桜が開花した時期に寒くて目が覚めることは通常ありえないはずである。
 目覚めてからテレビの天気予報で雪の可能性があると言っているのを聞いて、なるほど寒いはずだと思った。

 ここ関東で桜の開花が報道された直後に雪が舞うのを見るのは初めてだ。
 桜舞い散るではなく桜の中で雪が舞うのは貴重な体験だろう。
 
 そんな中、先日の地震で止まっている発電所がある影響で電力需給が逼迫し停電の恐れがあるという。この寒さの中で東京大停電でも発生しようものなら、私はとたんに路頭に迷う。
 大停電になれば当然電車も止まるだろう。
 そうなれば勤務先から家まで歩いて帰るしか無くなるが、雪の中を長距離歩いて帰宅する事は事前想定していない。そうなると会社で一夜を過ごすことになりそうだが、停電で暖房も付かず店舗もやってないとなれば、寒い中を非常食で耐え凌ぐしかない。

 結局、何の対策も出来ていない事に啞然とする。東京全体が停電するなんて事を想定する必要がないと思い込んでいたが、地震と寒波という二つの自然現象が重なっただけで重大な危機に陥る可能性が高まるほどに現実は脆いということだ。
 全てを想定して備えておくことなんて出来ないのだから何処かで諦めざるを得ない地点があるけれど、その地点がなるべく遠くになるように考えておくのがリスク管理には重要ということか。

 足が寒くて夜中に目覚めないためには、せめて掛け布団の縦横は分かりやすくしておけということだろう。

おわり

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