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ドラマを見続けられない理由

 海外ドラマが好きなのだか、それでいてドラマを見続けることが苦手だ。シーズン1まではスムーズに完了するが、その後が続かないことが多い。
 もしシーズン5まであるドラマだとしたらそれだけ人気がある証拠だが、そこまで私の根気が続く予感がしない。
 続くものもあれば続かないものもある。
 ただ、見続けるのにはそれなりの体力がいる。
 近年はシーズン2か3の途中で脱落してしまうことが多くなってきていた。もっと最近ではまだ見ていないドラマに手を付けることすら億劫になってしまった。

 理由は単純で、私が飽きっぽいからだ。
 見ている途中でうたた寝したりしたら最後、次の回を見る気にならなくなる。他の人は最後まで見ているのだろうから、続かないことの非が私にあるのは間違いない。

 何だろう。
 ストーリーにワクワクしなくなるからだろうか。ドキドキしないと眠くなるからだろうか。しかしそんなにドキドキしっ放しのストーリーもそうそうある訳がない。

 もう一つの理由があるとしたら、最近はサブスクで見放題ということか。
 その昔レンタルビデオ店で映画のビデオを借りていた頃は見ずに返却したことは無かった。しかし一週間何本というパック料金が始まった途端に見ずに返す作品が出てきた。
 当時は見きれない数を借りる計画性の無さを嘆いていたものだが、そうではなかったのかもしれない。知らないうちに一本当たりの価値を下げてしまっていたのではないか。作品そのものの価値は値段とは関係がないはずだが、安いものは無駄に消費されやすいという説明は説得力がある。実際は全ては見ないのだから消費ではなくて浪費か。

 サブスクで見放題ともなれば、見れば見るほど単価は下がってしまう。それを作品の価値が下がるように無意識が錯覚するのだとしたら、見る本数が少なくなるはずだ。ということは、無意識の自分が飽きっぽさを助長しているのか。
 ちょっとした妄想だが、そんなことを考えた。

 でも本当にそうだとしたら、制作者に取ってはこれほどの不幸は無い。自分の作品を世に問うチャンスは増えたが、コンテンツの洪水によって実際にそれを人が目にする機会は減っている。
 ひとりの人が見尽くすことの出来ない膨大な数のコンテンツは、もはや浪費すらされず、アップされた時点でその寿命を全うしてしまう運命にある。
 いくつかの幸運が重なった時のみヒット作が生まれるのは昔も今も変わらないが、今では単価が安いからヒットしたところで知れている。

 ストリーミングの事業者側ではとにかくコンテンツの数が必要で、ユーザーが新しい何かを目にする機会が多くないと取り残されるから、ユーザーには毎日のようにオススメ作品が表示される事になる。
 当然の話、サブスクだから収入金額はユーザー数に比例する。その限られたパイを多くの映像制作者が食い合っている。

 そうだとすれば、私達が目にするドラマは一体何なのだろうか。百均のように、希少価値が無く量産された薄利の商品が大切には扱われないように、ただ話題として消費されるためにあるようなドラマが溢れた末に私達が目にするのは何だろうか。
 若い世代の間では、今やドラマや映画は高速再生してストーリーを追うだけのものになっている。そこでは、ストーリーという一部の要素だけを作品から抽出して消費されている。

 ドラマを見ながら寝落ちしてしまう原因が寝不足だとしたらそれは私の生活習慣の問題だが、映像作品を鑑賞するのではなくコンテンツを消費することに私自身が慣れてしまった結果なのだとしたら悲しい。

おわり
 

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