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困ってからが仕事

 困ってからが仕事、というのが経営者、故・稲盛和夫氏の言葉だったと聞いた。

 順調に進むのであれば何の問題もない。誰がやってもそうならば、その仕事にあなたは必要ない可能性すらある。
 しかしどんなことでも、困った事態にぶち当たる事がある。軌道に乗り始めるまでの最初のうちは困った事がよく起こる。それをひとつひとつ対処していく事で、次第に困った事は減っていく。

 企業が持つノウハウは、1社員が上手くやれる様にするだけではなく、同じ事の繰り返しを避けて資本効率を上げるという意味で、何よりも企業にとって大切なものだ。
 ノウハウは、困った事の回避あるいはそこから回復する為の知恵が凝縮されたものだ。
 理想的なのは、過去から積み上げられたノウハウをマニュアルなどで都度参照するのではなく、各自がノウハウに沿って自然とこなせるように手順や段取りの枠組みを構築しておくこと。そして、ノウハウをスムーズに伝承するための仕組みを構築しておくことだ。

 それでも次から次へと新しい困った事が起きる。だからノウハウはFAQの様に具体的なものではなくて抽象的なものでなければならない。つまり応用が利くノウハウこそが重要なのだ。そして往々にしてFAQがあまり役立たない理由は具体的すぎる点にある。
 学ぶ側の姿勢も大切だ。個々の具体的な事象への対処方法として憶えるだけだと応用が利かない。ポイントを押さえて他の場面でも使えるように視野を広げて憶えると良い。

 もう一つ大切なことは、ノウハウは完全に正しいものではないということだ。ノウハウは時代というバックグラウンドと絡みついているので、常にアップデートが必要だ。どうしてこうするのか、この作業は何のために必要なのか、改善の余地は無いか。そうした視点で見続けることを忘れてはならない。

 困った事は知識だけでは解決出来ないことが多い。そこには知恵が必要になる。だからこそノウ・ハウだ。経験の無いことでも知らないことでもゴールまでの道筋を付ける必要があることは仕事なら幾らでもある。知っている人や詳しい人を見つける事も解決手法の一つだが、見つからなくても何とかするという手札を持っていたいものだ。そうすれば大抵のことは解決出来るし、咄嗟の対応にも躊躇が無くなる。

おわり
 

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