やっぱりJazzが好き
ふと昼食に入った蕎麦のチェーン店でBGMにJazz。
有線放送のチャンネル選択を間違っているんじゃないか、蕎麦屋にジャズは合わないぞという人もいる。
喫茶店で流れるJazz。
耳心地の良い、さしてメロディーの残らない邪魔にならないBGMとして静かに流れる。心に入って来ないからこそ手元の作業に集中出来るし、思いにふけることが出来るというのだろう。
こうしてJazzと言えばあちこちのBGMで耳にするも、興味があるという人は少ない印象。誰かが鼻歌でJazzのフレーズを奏でたり口ずさんでいるのを聞いたことはほぼ無い。Jazzが好きなんですと表明されたことも無い。
音楽何が好き? と聞かれた時に「何でも聞くけど、敢えて言えばJazzかなぁ」と答えた時の反応は激薄だ。
逆に、同士を見つけたとばかりに食いついて来られるのも困る。
「俺も。Jazz好きなんだ。○○って良いよね」
と言われた時の反応に困る。Jazzは好きでも〇〇ってアーティストは別に、と思っていたりするからだ。
「えっ、じゃあビッグバンド? それともビバップ? いや君はせいぜいフュージョンじゃないの?」なんて決めつけられるのも嫌だ。
「やっぱり50年代だよね」と懐古趣味に浸るだけのつもりも無い。
勿論、勿論。
趣味の話だから誰が何を好もうがそんなことは別に構わない。しかし価値観の押し売りはやめてほしい。
Jazzの何が良いの? という素朴な疑問を投げかけられるのも困る。
そう聞いてくる人は、自分が好きな音楽のジャンルに求めている快楽と同じものをJazzにも求めてくるからだ。パンク・ロックの良さはJazzには無い。当然だ。だから、パンクのような刺激を求められても困る。
だからと言ってJazzに刺激が無いかと言うと全くそんなことはない。
むしろ、インプロヴィゼーションのヒリヒリとする緊張感や陶酔感は他のどんなジャンルの音楽にも負けない。
気難しい顔して聞くやつでしょ、という評価もステレオタイプに過ぎる。元々私はそんな顔なんだから放っておいてくれ。クラシックを聞くと眠くなると言う奴はJazzを聞いたって眠いだろうよ。
Jazzの魅力を語るはずが防戦に徹する羽目になるのも日常茶飯事だ。そもそも分かってもらわなくても良い。分かりたい人だけで良い。
先輩、Jazz初心者は何から聞けば良いですか? というふざけた質問もそろそろ考え直したらどうだろう。
じゃあ、初めてJPop聞くならどのアーティストが良いですか、と聞かれたら何と答えるのか。あなたの答えはあなたにとっての正解かもしれないが、質問者にとっての正解とはまずもって違うだろう。
音楽の趣味を語ろうとするだけでこんなにもややこしいことを考えさせられると思うと、いっそJPop好きと言うことにしておこうかと思いかけるが、何だかんだ言って、私はやっぱりJazzが好きな事に気付かされるのだった。
おわり
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