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ライティングのすゝめ

 家の中の照明器具と言えば、とにかく安くて明るくて熱くならない蛍光灯、というのが昭和の定番だった。部屋の隅々まで照らす蛍光灯のあの白い光は、当時は先進文化の象徴で、それは白熱電球を裸で一つぶら下げただけの戦後の貧しさの象徴からの脱却でもあった。暗い部屋では目が悪くなると言われ、夜でも明るい光のもとで生活できることが幸せに思えた。

 しばらくすると、同じ蛍光灯でも昼光色というのが出てきて、ただの真っ白よりも柔らかい印象で、その方が落ち着くと言われた。確かに人工的な青白い光よりも日中のような自然な光が演出されていて、目にも優しい気がした。

 その頃だろうか、海外の映画に登場する部屋の照明が気になったのは。一つの部屋に複数のスタンドライトなどを置いて、色温度の低い白熱電球で柔らかく照らす光景を目にして、その落ち着いた雰囲気に憧れを抱くとともに、あれでは暗くて本は読めないから実用的ではないなと思ったりした。
 折しも海外かぶれの父がおしゃれを気取ってスタンドライトを買ってきたりしていたが、そのくせこれじゃ暗いなと呟いていたから、あまり利用頻度は高くなかったと記憶している。

 ことインテリアに関しては、今は世間の充実度に目を見張るものがある。インテリアショップは数多あり、動画でもインテリア系は人気を集めている。モノに溢れた昭和へのアンチか、断捨離と称してミニマルな生活様式が持て囃される。スッキリとおしゃれな生活空間が人気で、整理整頓の行き届いた部屋を目指す人が多い印象だ。

 それでも恐らく、理想と現実はなかなか巡り合うことが出来ないのだろう、整理整頓関連の書籍や雑誌などのその手の企画は人気だ。
 当たり前だが、生活していると部屋の中には日に日に生活感が増していく。どんなに片付けても、どんなに掃除をしても、部屋には物が散乱していく。何かを飾ればかえって垢抜けなさや野暮ったさが目立つようになる。オシャレな空間を維持するのは難しいのだ。

 そんな中、比較的簡単に垢抜け演出を出来るのがライティングだ。夜に限ってのことだが。
 それこそ、少し照度を落としたスタンドを複数設置してやるだけで、ぐっと安らぎ感が増して落ち着いた雰囲気を楽しめる。
 照明器具の数は3灯以上がオススメだ。当然ながらシーリング蛍光灯は言語道断で、出来ればダウンライトも使わないようにしたい。色は電球色が基本で、直接目に入らない場所にLEDテープライトを設置するのも良い。
 あちこちのライトを点灯するのが面倒であれば、スマートコンセントプラグとAmazon Echo等を組み合わせてやれば「アレクサ、ライトをつけて」と言うだけで全部を一度に点灯させることも出来る。スケジューリングしておけば夕方になったら自動点灯させるといったこともできたりするから便利だ。

 今はLEDの電球がすっかり普及して値段も安くなった。しかも電球色も販売されている。多灯の場合は一つ一つの照明器具はそれ程明るくなくて良いから、複数あっても消費電力はかなり抑えられる。
 まだ明るい部屋で過ごしているという方は、今年は部屋のライティングを愉しんでみるのはいかがだろうか。値段以上に部屋の雰囲気が激変するのでおすすめしたい。

おわり

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