中学校の国語の授業 説明文編⑥ 『モアイは語る』の論証構造

数学の証明指導との関連指導により、以下のような演繹的な論証の構造を捉えることができまいた。そして、「データ」と「理由づけ」の蓋然性についても理解することができました。

 データ:森林破壊により文明が崩壊したのはイースター島である
  ↓ ← 理由づけ:イースター島と地球は同じ状況であると言える
 主 張:森林破壊により文明が崩壊するのは地球であろう・生活や農耕地

この先の指導は、教材の筆者は「データ」と「理由づけ」の蓋然性を高めるためにどのような推論を展開しているのかを考えていくことがその中心になってきます。
まずは「データ」についてです。筆者は二つの具体例を示してそこから帰納的に「データ」が導かれた構造にしています(以下の構造)。

 ・森林伐採による表面土壌の流出等
 ・モアイを運ぶための伐採による漁業の衰退等
  (これによる食料危機や抗争)
      ↓ *帰納
  森林破壊により文明が崩壊したのはイースター島である

「理由づけ」は三つの具体例を示してそこから帰納的に導かれた構造にしています(以下の構造)。

 ・広大な宇宙という漆黒の海にぽっかりと浮かんでいる
 ・急激な人口増加が起こってい る
 ・農耕地不足による森林破壊が進んでいる
      ↓ *帰納
  イースター島と地球は同じ状況であると言える

つまり、『モアイは語る』の論証構造は以下のようになるのです。   

 ・森林伐採による表面土壌の流出等
 ・モアイを運ぶための伐採による漁業の衰退等
  (これによる食料危機や抗争)
      ↓ *帰納
 データ:森林破壊により文明が崩壊したのはイースター島である
      ↓
      ↓     ・広大な宇宙という漆黒の海に浮かいるぶ
      ↓     ・急激な人口増加が起こっている
      ↓     ・農耕地不足による森林破壊が進んでいる
      ↓        ↓ *帰納
      ↓ ←←理由づけ:イースター島と地球は同じ状況である
      ↓ *演繹
      ↓ 
 主 張:森林破壊により文明が崩壊するのは地球であろう

ここまで分析できた後に再度数学で学んだ証明の構造と比較させてみます。そうすると、論証は数学の世界だけのものではないということ、生徒たちの日常における論証はとても複雑な構造になることが理解できることになります。
そして、ここまでの「評論」の指導において、中学校第二学年国語科「C読むこと」指導事項イの「文章全体と部分との関係」を理解させたことになります。

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