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あべこべ姉妹の京歩き1日目

名残惜しくもゴールデンウィークに別れを告げ、財布を眺めては冷や汗を流し日常に戻っていく頃、姉と京都に行った。

姉と会うのは、年末以来なので5ヶ月ほどぶり。夕方近く、四条駅のエレベータから降りてきた姉は、春過ぎなのにもう日に焼けて浅黒く、イカしたサングラス姿にいつものでかい声で「おう!」と言った。

ひとまず宿に向かい、荷物をおろす。事前に調べて予約したイムホテル京都。ホステルのようなお宿で外国人の利用も多く、スタッフの方たちもホテルマンというよりラフで温かい。

施設の利用についてとても丁寧に説明をしてくださったけれど、1階カウンターの日本酒飲み放題の説明以降、興奮してあまり内容が入ってこなかった。


集合が夕方になったので早々に飲みに出かける予定で、せっかくなので1杯いただいてから出発。暑くもなく寒くもない、歩くには最高の気候で足取りも軽く、旅行気分に胸が躍る。駅周辺は多国籍な人で溢れかえっており、観光地の雰囲気が非日常感に拍車をかけた。

京都のお店の知識がなかったため、直前にYoutubeなどで見た情報をもとに気になる店に行ってみることに。

河原町のOPA裏、混んでいるのかなぁとチラ見すると入れそうだったので、いろんなサイトや動画で紹介されていた「たつみ」へ!

立ちの席に通されて、電子ではないタバコの匂い、隣の話し声が聞こえる距離感、あぁこれぞ大衆酒場。ぎゅっと詰まった店内にびっしり並んだ短冊メニューがまたよい雰囲気。

こんなところでは瓶ビールといきたいところだけど、まずは生中を頼んでしまう。これはもはやクセ。そして一品目がくるまでにちょっと減っちゃうのも一連の流れ。えびの天ぷらがさくっとして、あふ、あふ、と熱くて、そしてプリプリ。至福の時間の開幕にぴったり。

そういえば、関西に来てから気になっていたことなんだけど、飲み屋に入ると「お飲み物何にしましょう」っておしぼりとどちらが早いかくらいの勢いで聞かれる。愛知にいたときにはこんな速度感で聞かれなかった気がしていたけど、夫に話すと「日本中どこでもそうだよ」と言われていた。

どうもモヤモヤしていたのを思い出したので姉に聞いてみたら、やはり「愛知ではあまり聞かれない」とのこと。やっぱりそうだよね!他の地域はどうなんだろうな。

あちらこちらでハイリキを注ぐ姿が見られてつられそうになりつつも、瓶ビールも楽しむ。あぁやっぱり瓶、ウマ。お刺身に鯖のへしこに、魅惑のメニューがありすぎて、ついつい飲みすぎ食べ過ぎてしまいそうなお店だけれど、ぐっとこらえておあいそ。まだ夜はこれからなので!

お店から出てもまだ外は明るく、姉と2人で幸せを噛みしめながら鴨川の方へ向かう。鴨川では納涼床が5月から始まるので、それはぜひ見なければ。

次第に薄暗くなり灯りが目立ち始めた先斗町はそれはもう風情があり、京都ってやつは日本人でも「ここが日本ですかそうですか」と言いたくなる。なんだか、昭和村とか映画村とかのような、日本村というテーマパークに来た気持ちになるのだ。

見応えたっぷりの先斗町はさすがの賑わいで、お祭りのように混んでいた。外に並ぶメニュー表の価格帯がなかなか上品だったので、ちょい飲みができそうなお店にお邪魔し、雰囲気を少し感じることに。

「先斗町串エ門」のテラス席が空いているとのことで入店。串カツ1本単位で頼めるのでお腹の具合も調整しやすく、川沿いの風を感じながら飲むレモンサワー、めちゃくちゃ気分がいい。

なんでこう外で飲むお酒っておいしく感じるのかしらね。青からぐんぐんと濃紺に近づいていくのをお酒を飲みながら見ていられる贅沢が嬉しい。川の向こうにはビアガーデンのような提灯が見えた。観光客にとってはこの京都の風情にビアガーデン?となりつつも、今年の夏はビアガーデンも行きたいよね!なんて話も盛り上がるので、もう何が見えても語れるゾーンに入ったご様子。

しっかり夜になってきたのでほろ酔いで店を出て、せっかくなので散策して、小さなお店を覗いたり、狭い道に入ってみながら、宿の近くに戻って店を探すことにした。

烏丸駅を出て宿周辺をうろうろした末、京都酒蔵館へ。店内にはたくさんの日本酒の瓶がライトアップされて並べられていて、期待が高まる。

ここでは利き酒セットがあって、15種類の日本酒が入ったグラスは見るだけで気分が上がる。しかし私はすでにアルコールが入っていて、15種類も飲んだら翌日の観光に支障をきたすので断念。周りのテーブルの外国人の方たちはやっぱりお強いのか、楽しそうに15種類の利き酒をしていた。

私が頼んだのは3種類の飲み比べセット。これがちょうどよい。1番お気に入りだったのは『都鶴酒造 純米山田錦 極辛』ピリッとした感覚があり、かなりスッキリしていて食事に合う!姉は香りが強い日本酒が飲めないけれど、私のを少し飲んだら気に入ったようで、自分でも1杯頼んでいた。

都鶴酒造は伏見の酒蔵。伏見の酒蔵には前から行ってみたいと思っていたので、ますます気になっちゃったなぁ。

お酒に夢中で撮り忘れたけど、漬物やおばんざいなど、京都らしいおつまみもどれもおいしかった。

十分にお酒が入り、今回の旅の目的だった姉の相談話を聞いたり、家族の話をしたり。「あれ、私たちって2人で旅行したことってあったっけ」なんていう今更な話題から、姉妹で旅行をするのが初めてだということに気がついた。

私と姉はまったく違う性格をしている。考えるより先に体が動く、器用でアクティブな姉。対して考えなければ動けない、不器用でインドアな私。姉はコロナ禍で休日でも家から出れないなんて息が詰まると嘆いていたが、私はとくに何も不便は感じていなかった。同じ親のもとに生まれて一緒に育ったのに、こうも違うものか。

コロナが落ち着き、沖縄にキャンプにと跳ね回る姉の話は自分の中には見出せないエネルギーが満ち溢れていて、聞いているだけでおもしろい。活動的すぎて、友達だったら多分気が合わないんだよな。実際、子供の頃は仲は悪くなくてもあまり近寄らない時期もあった気がする。

それでもなんだかんだ同じ家で過ごしてきた家族だからお互いを理解しているし、気楽に物事が言える。大人になってからは深い話もしやすく、友達や親にはできない相談事もお互いするようになった。

今回も姉の今付き合っている彼についての相談事で、普段は2〜3時間程度の食事で済ませるのを、こうやって旅行に出かけてじっくり話すのもいいな、としみじみ。思えば私も結婚してからは夫以外と出かけることは少なくなって、こういう時間がすごく貴重になっていた。

旅行の醍醐味は宿の夜にあり、と言わんばかりにコンビニで酔っ払いの延長セットを購入。女たちの本番は化粧を落としてから始まるんです。

散々食べてからのポテチ、そっけないビールの缶、尽きないくせに記憶に残らない話。そして寝る前のカップラーメン。人生の歓びはここにある。

何年振りかに布団を並べて寝転がり、自分が眠たかったんだと知る。こうして夕方から始まったはずなのに長く感じられた1日目は終わりを告げた。

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