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私が好きなミスチルを求めると、桜井さんに申し訳なく思う。

希望に満ちて愛に溢れる曲よりも、どこか暗くて悲壮感に溢れる曲が好きだ。かと言って、全面的に暗い曲って中々無いから、暗さや失望の中に希望を見出す、ような曲を好む傾向が私にはある。
例をあげるとすれば、syrup16g「生活」や鬼束ちひろ「月光」、きのこ帝国「海と花束」「スカルプチャー」などなど。考えてみると、曲調が暗いものならなんでも好きな気がするし、単に未来は明るい、愛してる、希望を持とう、みたいな歌詞や曲調が嫌いなだけかもしれない。自分の性格上の問題もあると思う。

と前置きはここまでにして、こういう考え方を持つ私だが、昔からMr.Childrenが大好きである。HOME発売以降、アルバムはちゃんと聴いているし、ライブにもほぼ毎回参加している。「HOME」の発売時、私は中学生だったため「HOME」, 「SUPERMARKET FANTASY 」あたりの穏やかな、キラキラしたミスチルから入ったことになるわけだが、徐々に昔の曲を聴いていくと、自分の好みは「深海」とか「DISCOVERY」、「Q」に収録されるような曲だと感じ始めた。あの時代の曲って、もちろん明るいものもあるけど、ゴリゴリのギターロックや、かなり暗いものもあったりで、当時流行っていたGReeeeNやEXILE、清水翔太などを中心に聴いていた自分には衝撃的だった。それからというもの、ミスチル沼にハマっていき、「SENSE」、「[an imitation] blood orange」が発売されるわけだが、これらを聴くとなぜか違和感を感じざるを得なかった(SENSEの「I」とかはめっちゃ好みだけど)。昔の曲のような、生きるのに苦しむ感じや投げやりな感じ、作詞・作曲者は病んでいそうな感じがあまりない。

Mr.Childrenのファンになってしばらくしてやっと、メンバー自身の経歴を調べたことがあった。すると、桜井さんは不倫していた過去があり、当時は自殺まで考えたこともあるのだとか。正直、「彩り」、「あんまり覚えてないや」といった日常を歌う曲を作った人間と同じとは思えなかった。しかし、自分が好きな曲は、桜井さんが病んでいた時期に作ったものであり、やはり極限に近い状況で作られたものだからこそ根源的な思いが表現されていて、自分がそれを感じ取ったのか、あるいは単に自分の性格の悪さから、人が苦しんでいるときの制作物が好きなだけかもしれない。

今現在もMr.Childrenは日本音楽界の最前線を走り続けており、リリースされている新曲たちも非常に良い。しかしながら、どうしてもあの「深海」の時代のような曲を待ち望んでいる自分もいる。一人のファンとして、桜井さんに対して「再度不倫して苦しんでくれ」と望めるような立場ではないし、そのような非道な人間にはなりたくないけれど、心の奥底ではわずかな願望を抱いてしまっている。

だからこそ、常に桜井さん申し訳ないなと思いながら、彼らの新曲を楽しみにしている。


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