ラジオで聴いた子どものお小遣いの話

今日は仕事が休みなのだが、家にいてもすることがないし、僕個人は職場に野暮用があったため、出勤している。


その行きがけに車のラジオで子どもの小遣いについての調査に関してパーソナリティの男性が話していた。

その内容は、子どもへのお小遣いを2割以上の親がキャッシュレスで渡しているというもの。


ついにそんな時代になったのか、と驚いた。
驚いたし、気になったので職場で少し調べてみた。

これがその調査。


MMD研究所というところが行なっている調査のようだ。


この記事によれば、

2021年以降に初めて子どもにスマートフォンを持たせた親1000人に、子どもにお小遣いを渡すときの手段を聞いたところ「現金」が64.3%、「現金とキャッシュレスの併用」が10.4%、「キャッシュレス」が9.1%となった。

同サイトより

とある。
なぜキャッシュレスで小遣いを渡すのかという理由としては
・キャッシュレスに慣れさせたい
・利用状況や使い道の履歴が管理できる
・ポイント還元があり、お得だから
・落としたりなくしたりする心配がない

といったことが挙げられるようだ。なるほど。納得。
きっとこれから先の未来、キャッシュレス化はさらに進んでいくであろうことは想像に難くない。

そんな時代を生きる子どもたちに、今のうちからキャッシュレスに慣れさせておきたいという親心は理解できるし、使い道や利用状況が分かるのも安心だ。

ポイントがつくのはたしかにお得だし、スマートフォンさえ持っていれば財布とともに現金をなくす心配もない。

良いことだらけである。
こうなると、僕の心に巣食う『粗探しマン』がうずきだす。


デメリットはないのだろうか、と。
さっそく『キャッシュレス デメリット』でGoogle先生に尋ねてみた。

ざっと検索をかけて調べてみたところ、キャッシュレスのデメリットとして挙げられたのは以下の通り。

・非対応の店やサービスがある
・使いすぎてしまう可能性がある
・セキュリティが不安
・お金の価値を実感しにくい


どれも言わんとしたいことは分かるのだが、キャッシュレスを使わない理由にはならないような気がする。
経済産業省の出している『キャッシュレスの現状及び意義』では

日本のキャッシュレス決済比率は約20%にとどまっている

経済産業省 商務・サービスグループキャッシュレス推進室
『キャッシュレスの現状及び意義』2020年1月

と述べられているが、僕個人の体感としてはとても20%にとどまっているようには感じない。
今やコンビニ・スーパーは当たり前にキャッシュレスだし、ファミレス、ドラッグストア、日用品店など身の回りのあらゆるところで「えー現金しか使えないの!?」という経験はほとんどない。

コロナ禍による外出自粛によるネット決済や、接触を嫌う人たちのキャッシュレス利用により、キャッシュレス化はさらに推し進められていると考えて良いのではないだろうか。


そうなると、デメリットの1つめである非対応の店やサービスがあるというのは、クリアできてしまう。


次に使いすぎ、という点に関しても保護者が上限額を決めるなり、使い方に制限をかけるなりすればクリアできてしまう問題だし、

セキュリティ不安に関してもしっかり対策を講じれば、深刻な被害には繋がりにくいのではないだろうか。



なんだ、キャッシュレス化、恐るるに足らず。


しかし、最後の問題が心に引っかかる。

お金の価値を実感しにくい、という点。


お金の価値って、なんだ?


お金って、なんだ?


この疑問が浮かんできた時に、あるCMを思い出した。

三井住友銀行のCM。
俳優の小栗旬が、お金とは何かを様々な出来事や人との出会いの中で考えるシリーズ。

そこはかとないおしゃれな雰囲気に、つい手を止めて見入ってしまったことのあるCMだった。
現在4話まで製作されており、どれも素敵な仕上がりになっているのでぜひ上のリンクから飛んで見てもらいたい。


このシリーズの中で、お金とは何か?この現金は自分のものだと証明できるのか?と問いかけられるたびに思わず「う~ん」と唸ってしまう。

そんなことは考えたこともなかった。


そして、第三話の中で小栗旬演じる青年が
「子どもの頃、母親におつかい頼まれて、おつりはお駄賃だよって言われて嬉しくて・・・」

シリーズを通して現金の持つ奇妙さについて考え、それを受け入れた上で「でもそういう光景がなくなってしまうのは、なんかさ・・・」と切ない表情を見せる。



子どもの頃、まだ自分でお金を稼ぐ力のない身としては、現金はとても特別なものに見えていた。

道端に小銭が落ちていれば嬉々として拾っていたし、家じゅうの本棚やタンスの隙間に「へそくり」と称して自分の小遣いを隠しまわっていた時期もあった。

小学校1年生のとき、放課後一緒に遊んでいた友達が「おごってやるよ」と言って買ってもらい食べたアイス。そのことを帰宅後に母親に話したら、他人の家の金で何やってるのかとこっぴどく叱られたこともある。


キャッシュレス化はたしかに便利だけれど、子ども達の日常からこういう光景を奪っていくことにもなるのだろうか。


むしろネット上に隠し口座を作ってそこに秘密の資金をため込んだりとかしちゃうようになるんだろうか。



これも時代の進歩と前向きに捉えるのか。


それとも、現金を持ち歩くことで正しい金銭感覚を身に付けるべきなのか。




僕は結局調べてみた結果、お小遣いをキャッシュレスで渡すことにはどちらかと言えば、賛成。
ただ、現金がまったくなくなるのは、小栗君と一緒でなんだか寂しいような気もする。

そんな曖昧な結論。

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