かがみの孤城/辻村深月

 読了。ネタバレあり。

 鏡を通して謎の城にやってきた7人の子供たち。彼らを誘った「オオカミさま」は彼らに「願いの鍵と部屋を探せ、そうすればなんでも一つだけ願いを叶えてやる」と言う。集められた子供たちは、一人を除いて全員が不登校だった。期限は三月まで。彼らは四月から城で会うことによって、徐々に距離感を縮めていく。

 しかし、途中で「オオカミさま」に「願いの鍵を使ったら、ここで過ごしたすべての記憶が消える」と言われ、子供たちは困惑する。更に、子供たちが一人を除いて全員が同じ中学校であることを知る。ならば、と現実世界で会わないか、という話になり、子供たちは勇気を出して学校に行くのだが、会えなかったどころか、そんな生徒はいないとまで周りに言われてしまう。

 長くなるので中略するが、最後に結局願いの鍵は使われ、子供たちは自分たちが同じ中学校で、年代が違うのだということに気づく。そして、最後に自分たちの名前を教え合って、それぞれの世界へ帰っていく。

 あんまりネタバレするといけないかなと思い、最後のほうの概要は書かずにおく。普通におもしろい本だった。わたしは性格が捻くれているので「所詮は現代作家が書いた小説だろ〜? 本当におもしろいのかなあ」などと思いながら読んだが、普通におもしろくて斜めに構えていた自分を恥じた。真相に迫っていく子供たちのキャラクターが一人一人深くて、ドラマチックな作品だなあと思った。

 どうしても日頃文豪作品や海外ミステリーを読んでいるので、現代作家のことをナメている節が拭えないのだが、そんな気持ちを一蹴してくれる作品だった。読めてよかったと思う。

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