しまじろうを親が楽しむ方法⑥~どんな種族でも指が5本ある~
前回の記事は以下から
しまじろうの世界では、上記で示した通り、各種族が、交雑することなく、知的生命まで進化をとげ、文明を一緒に築くという極めて特殊な世界である。
さらに驚くべきことに、種族が”ゾウ”であれ"鳥"であれ、必ず指が5本あるのだ。これは、テレビの前の子供達にハサミの使い方やお箸の持ち方を指南しなければならないためだろうが、進化論的には非常に頭を悩ませる設定だ。
(ちなみに、しまじろうが風邪をひいたり、マスクをしたりしているので、ウィルスに対する免疫系や身体の構造など細かい所も種族を跨いで似たような性質を持っていそうなのだ。)
"ゾウ"や"鳥"、"犬"など、何億年も前に枝分かれした種族が、各々の進化を遂げて、最終的に同じ指5本に帰着するのだ。これの説明を付けるには、「収斂進化」を採用しようと思う。
「収斂(しゅうれん)進化」とは、異なる系統の生物が、同じような環境に適応する過程で、全く異なる祖先から出発しながらも、似たような形質を獲得する現象のことだ。
https://www.metro.ed.jp/kagakugijyutu-h/assets/vol41%E5%8F%8E%E6%96%82%E9%80%B2%E5%8C%96.pdf
↑こんな感じで、だいぶ前に枝分かれしたはずの「カメムシ」と「カマキリ」が見た目がそっくりになるような現象だ。
つまり、しまじろうの世界では、早い段階で違う種族同士が同じような環境で生活したおかげで、全く異なる祖先から出発しながらも、似たような形質を獲得したのだろう。
どれくらいの時間をかけて「収斂進化」をしたかを紐解く情報は少ないが、"とりっぴー"から推察できる。
"とりっぴー"は鳥類なので、恐竜が先祖である。しまじろうの世界観では違うのかもしれないが、少なくとも"恐竜"がいた描写はある。ガオガオさんの発明品”ミラクル立体ガン”で恐竜図鑑からティラノサウルスを立体化していた。
先祖である始祖鳥をとりっぴーの先祖と考えると、ジュラ期である1.4億年前には鳥類が発生した。さらに”オウム”は1600~2300万年前の化石が発見されているため、2300万~1.4億年前にはオウムはいたことになる。
2300万~1.4億年前にオウムが発生して、そこから収斂進化を遂げ、今にいたるわけだ。(他の動物も調べるべきだが100種類いる試算のため割愛)
つまり、いったん枝分かれしたが全種族が2300万~1.4億年前から、2000年(※)前の間に収斂進化を遂げた。
※しまじろう達はしょっちゅうクリスマスパーティをしているので、"クリスマス"の概念がある。つまりキリストが誕生した2000年前には文明は発達していたと思われる。メソポタミア文明に触れる描写は発見できなかったので、2000年が最古の文明とする。
まとめると、2300万年前~1.4億年前に収斂進化が始まり、全種族が5本指になり、少なくとも2000年前には文明が発生している。
1.4億年前から全種族が収斂進化というダイナミックな進化をとげ、紀元前に文明が開化し、種族間で交雑することなく、お互いを征服したり迫害することもせず、一緒に歩み、文明を築いてきた。完全に"同種"として文明を築いているのだ。これはとてもロマンティックな世界だ。
人間の世界はやれ黒人だ、やれ共産主義だ、やれユダヤ人だと、有りもしない境界線をわざわざ作っては争って野蛮な争いをしている。それがしまじろうの世界はどうだろう、"トラ"や"うさぎ"、"とり"や"ゾウ"など、全く違う生物同士が、争うことなく同じ文明のもと笑いあって幸せに暮らしている。
なんとも慈愛に満ちた、真の多様性を持った素敵な世界だろうか。僕はとても悲しくなり、泣いた。子供たちはなぜ泣いているのか分からない様子だったが、彼女たちの住む世界が少しでもチャレンジ島のようになるよう、身が引き締まる思いだった。
続きは以下より
(2024/11/13公開)