菅総理の勘違いー法の解釈は国会の権限

日本学術会議の任命拒否問題について、学問の自由の侵害といった議論が行われています。
法律論を言えば、もっとシンプルな問題です。

法の解釈を決めるのは国会であって内閣ではないのです。
菅総理は単純な越権行為をしてしまっているのです。

 1983年5月12日の参院文教委。学術会議の会員の選出方法などをめぐる「学術会議法改正」の審議で、中曽根首相(当時)の答弁です。

「これは、学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません。したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えております。」(nifty news「学術会議会員の任命は「形式的」 中曽根元首相が83年5月の国会答弁で断言していた」より)

この答弁にもとづいて、国会は、学術会議法の改正を決議したのです。
すなわち、「政府が行うのは形式的任命」という解釈を前提にして、改正法が成立しています。

この法解釈を変更できるのは国会の権限です。行政府である内閣には、国会が定めた法解釈を変更する権限はありません。

法の解釈にはもちろん幅があります。
時代の変化に伴って解釈を変更すべきときもあるでしょう。
それは、国会の権限なのです。国会で議論して決めるべき問題です。

今回の任命拒否問題は、菅総理が国会の権限を蹂躙した、という問題なのです。
内閣総理大臣は独裁者ではありません。
国権の最高機関である国会の制定した法律に基づき、法律を誠実に執行する機関です。
日本学術会議の会員が公務員であっても、その任命は「法律の定める基準」に基づかなければなりません。

菅総理は国会を愚弄しているのです。

憲法
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

第六十五条 行政権は、内閣に属する。
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
(中略)
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

銅鑼猫

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