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元技能実習生のタクシー運転手との会話

 Grabタクシーを呼び車に乗り込むといきなり「あなた、にほんじん?」と運転手に日本語で尋ねられた。はい、そうだけど、と答えると「日本で3年間はたらいていました」という。

 技能実習生だったのかとベトナム語で尋ねると「お客さん、ベトナム語上手だね、16年間ハノイに住んでるの?だったらベトナム語が上手なわけだ」とその運転手が笑う。

 宮崎県で3年間、解体業の実習生として働いた。仕事はたいへんだったけど、社長さんが面白い人で「コワセー、コワセー、ドンドンコワセー!」って掛け声かける。でも壊すのは実際たいへんでね、身体はきつかった。でも社長さんはいい人で稼がせてもらった、日本の生活は楽しかったよ。

 お客さん、奥さんはベトナム人?あ、それはよかった。ベトナム人女性がいいよね。今時の日本人女性は貧乏嫌いだし、我慢強くない。

 日本人の友だちは月収18万円、奥さんと6ヶ月の娘がいたんだけど、いつもお金に困ってた。ガソリン代もないというので僕がお金貸してあげたこともある。奥さんは夜の仕事にも行ってた。でも夫の稼ぎが悪いからかね、ある日突然夫と子どもを置いて逃げちゃった。

 ベトナム女性は苦労することに慣れてるし、我慢強い。旦那と子どもを置いて逃げたりしないよ、と笑う。

 ベトナムに戻ってから運転手になったが、収入は今一つ。また日本に行って稼ぎたいね、というタクシー運転手。夕暮れ迫るハノイの街角でタクシーを降りた。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2020年10月号掲載

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