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現代ベトナム映画事情〜外国映画、外資興行主が席巻するベトナム映画産業

先日、「草原に黄色い花を見つける」のヴィクター・ヴー監督が日本での上映プロモーションのため来日した。そのあいさつのなかで彼は「自分がベトナムで映画を監督するようになった10年前は年に10本程度の作品しか製作されていなかったが、現在は週1本もの新しい映画が生まれている」と語った。

ベトナムの映画産業はここ数年、年成長率は30〜45%にも達し、2015年の興行収入は対2012年比で614%、映画産業が世界でも13番目に「ホット」な国として数えられるようになった。同じく2015年にベトナムは興行収入1億ドル(約110億円)を超える国の一つとなり、世界的にも注目を集めている。

ベトナムで公開されている映画の制作国別でみると、米国映画が6割、韓国映画が1割(2013年)となっていて、上映される映画の多くが外国映画である。今もその状況に変化はない。

ちなみに日本映画だが、日本では大ヒットした映画「シン・ゴジラ」やアニメ「君の名は。」「この世界の片隅で」などが上映されるものの、残念ながらヒットするにはいたっていない。

ベトナムの映画興行会社のうち、CGVやロッテといった韓国の興行主がベトナム全国の映画館の83%を占有しており、上映作品のみならず興行の点でもベトナムの市場は外資に抑えられてしまっている。

ベトナム映画もラブコメ、アクション、ホラー、時代劇など多彩なテーマで制作されるようになったといっても、映画産業そのものにもまだまだ課題は多いといえよう。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース 2017年9月号掲載


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