ハノイの新たな公共交通手段、EV車両の「ビンバス」
ベトナムの交通手段といえばオートバイだが、バス路線も思いのほか発達している。ただハノイ市が運営するハノイバスは評判が悪い。車両は清掃、整備が悪く薄汚れ、きちんと停止せずに乗客を乗降させ、平気で急停車、急発進を繰り返し、乗り心地も極めて悪い。車掌も横柄で不愉快極まりない。
そこへベトナムの新興財閥であるビングループがバス運行サービスを開始した。傘下の自動車製造メーカーであるビンファスト社に車体を作らせ、これまた傘下のビンバス社がバスの運行を担当する。バスは電動モーターで走るEVだ。車体は昨年できたばかりでデザイン性にも優れ、ノンステップで乗り心地も良い。電動なので車内も静かだ。クーラーも効いているし、座席にはスマホ充電用のUSB端子も備わっている。車内は小気味なジャズやポップス音楽が流れる。車掌はきちんとした社員教育が施されているのか、皆礼儀正しく、「ビンバス、シンチャオ」と乗客にあいさつもするし、高齢者が吊革につかまって立っていると、若い乗客に席を譲れと促す。私企業の運営だとここまでサービスが違うのかと驚く。料金は一律8千ドン(48円)と市バスと同じだ。
従来、私はタクシー通勤だったが、私の住むマンションの真ん前からオフィスまで直通のビンバスが運行をはじめたのを機にバス通勤に切り替えた。
誠に快適なので、もうバイク通勤にもタクシー通勤にも戻れない。
日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2022年7月号掲載
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