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日本の文豪たちの小説がベトナムで読まれている?!

 「お父さん、Dazai Osamuの”Thất lạc cõi ngừoi”読んだことある?」と娘にたずねられた。太宰治は私の中学校時代の教科書に「走れメロス」が掲載されていたし、それをきっかけに私も太宰の短編小説は一通り読んだ。「”Thất lạc cõi ngừoi”、人の世を見失う?、ああ『人間失格』か。読んだことがあるけど、そんなに面白くなかったな」そう答えると「この本を読んで読書感想文を書いて先生に提出しなければならないんだ。ちょっと読んでみる」と言って娘は作品を読みはじめた。

 ベトナムでは「人間失格」のほか、「斜陽」「女生徒」などの作品も翻訳、出版されている。最近は太宰のみならず、夏目漱石、三島由紀夫、川端康成など、日本の文豪と呼ばれる作家たちの作品も次々翻訳されている。

 朝霧カフカ原作、春河35作画「文豪ストレイドッグス」というマンガがある。2013年に「ヤングエース」で連載が開始された。内容はといえば太宰や芥川などの文豪がキャラクター化され、彼らの作品やペンネームの名を冠した異能力を用いて戦うアクション漫画だ。そのマンガがベトナムでも19巻まで翻訳出版され人気がある。イケメン化した日本の文豪たちがベトナムでその名を知られるようになった。

 入口はマンガであれ、日本の文豪たちの小説が広くベトナムで読まれるようになるのは好ましいことだ。一時的なブームでないように願いたい。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2022年7月号掲載


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