うつ病になったきっかけは優しい人の心配する一言

私は数年前、うつ病を患い通院していました。その当時には気づけなかったことで、今、気づけたことがあります。それを文章でネット上に残すことで、もしかしたら誰かの助けになるかもしれないと思い、書くことにしました。
それがタイトルにも書いた内容です。
うつ病で悩んでいる方の「なぜ?」という不安に対して、答えの選択肢を一つ提示できれば…と思っています。

タイトルにも書いた通り、私がどん底に転がり落ちてしまったトリガーは、私のことを心配し、優しくしてくれた人の一言でした。
今になってそれに気がついたのは、当時と同じような条件で再びどん底に転がり落ちてしまったからです。
こうして下手ながらも文章を書けているくらいですから、現在は少し回復しつつある状態です。

一度目は上司からの言葉でした。
転職して事務の仕事をすることになったのですが、その仕事が全く上手くいきませんでした。仕事を教えてくれていた先輩は最初からとても厳しい方で、失敗を続けて数日後にはあいさつもしてもらえないという状況に陥りました。
私以外の人への態度はとても普通で朗らかな面もある方でした。なので、余計に私に対しての態度の違いが際立っていて「あまりに上手く出来ないものだから愛想を尽かされて嫌われてしまったのだなぁ」と、なんとなくそう思っていました。

ある仕事に時間がかかり過ぎて、後回しにしていた仕事が徐々に溜まってきました。定時間内にはどうしても終えられず、私は残業申請もせずに勝手に残業をし始めました。タイムカード上は残業していないようにして。
この辺りから自分の様子がおかしいなというのには薄々気がついていましたが、まだ無自覚だったように記憶しています。
上司はあまり口数の多くない寡黙な方で、入社してからほとんど会話をしていませんでした。残業していた時、その上司に「なんで仕事が終わらないの?」と声をかけられました。責めるような口調ではなく、単純に理由を尋ねられている、助けようとしてくれている優しい聞き方でした。
しかし私はその瞬間、パニックに陥りました。
なんで?どうして?なんでだろう?
仕事が終わらない理由が分からなかったのです。
いえ、正確には分かってはいました。先の通り、ある仕事に対して時間がかかりすぎてしまい、こっちの仕事はすぐに終わるし急がないから…と後回しにしていた仕事がどんどん溜まってしまった、その溜まってしまった仕事を片付けていた最中でした。
しかし、です。その時私が終わらないと悩んでいる仕事は、先輩が余裕で定時間内に終えられていた仕事です。だから、私が考えている終わらない理由は理由として言えるものではないと思い、なんと答えたらいいのか分からなかったのです。
頭の中がぐちゃぐちゃになり、言葉を迷って何も言えずにいたら、急に涙が溢れてきました。
自分でも驚いていました。どういう感情の涙だったのか今も分かりません。申し訳ない気持ちはあった気がします。答えられないことと、そんなことを聞かせてしまったことと。
涙が止まらなくなって、でも答えるのを黙って待ってくれている上司に何かしら答えなければと思いました。何を言ったかはもう思い出せませんが、その時片付けていた仕事を寄越してと言われ、それは駄目です、これは私がやらなければならない仕事だから…と断ったのですが、私の言葉を制して手伝ってくれました。
その日から、逃げ出したいと泣く日々が始まりました。
車での通勤中、何度も「今事故って死んだら会社に行かなくてもいいんだ…」と考えました。
「電柱に向かって勇気を出してアクセルを踏んだら死ねるかもしれない」
「反対車線のトラックが突っ込んできてくれたら死ねるかもしれない」
事故で死んだら、私がもう会社に行かないことを許してもらえるんじゃないかと考えていたのです。逃げる正当性が欲しくて、それにはもう死ぬしか選択肢はないと思いつめていました。

こうなってしまった原因を、当時の私はよく分かっていませんでした。
だって最初は平気だったのですから。自分の出来の悪さのせいで嫌われてしまったなぁと、その程度だったのです。

その後、端折りますが色々あって転職したのですが、今の職場であの時と同じようなことが起こりました。
1人厳しい先輩がいて、それを見かねた別の先輩が「大丈夫?」と声をかけてくれたのです。
言われた時は心配されていたんだと驚いて、へらへら笑って「大丈夫です」なんて答えました。しかし、先輩がその場からいなくなったら涙が溢れてきました。
そこからは昔うつ病だった時と同じ症状です。

誰かに心配された瞬間、何かがガラリと変わりました。
それまでは鈍感でいられたものに鈍感でいられなくなり、必要以上に重く受け止めて自分を責めてしまいました。

何が変わったんだろうかと考え、もしかしてこういうことかな?というのが一つ浮かびました。

自分の気づかぬうちに、体のどこかに傷を負ったり、どこかにぶつけて青タンが出来ていたりして「あれ?いつのまに?」なんてことないでしょうか?
そういう時、それまで傷があることにも気づいていなかったくせに、気づいた途端に痛いと感じ出す…なんてことありませんか?
その現象に似ているとなと思ったのです。

見た目には見えていなくても誰かに傷つけられた傷は残っていて、だけど鈍感でいられた間はまさかそんなに傷ついているとは思わずにいました。
だけど周りの人から「その傷大丈夫?痛くないの?」なんて言われてようやく気づく…。
気づいてしまったのでジクジクとした痛みを無視できなくなってしまい、治るまでずっと痛いまま。そうしている間にまた新たな傷を負ったりする…これが負のループでした。

意識が傷に向きすぎてしまう。毎日治らない傷を痛いなぁって思いながら見ている。そんな感じ。

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