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勇気の出ない私〜夫にも、不倫相手にも〜

別居生活が始まって、一年が過ぎた。

ご近所さんやムラの皆さんには、夫の不在はじわっと知られているし、職場のごくわずかな近しい人たち(とっても優しい同じ子育て中の同僚と、異性の中では今一番仲の良い上司……婚外恋愛中の相手である「先生(ここでの呼び名。研究、読書が好きな50代の既婚者)」)にもフワッと完全ワンオペ育児をボヤく日々が続いている。

離婚するかどうかについては、3月に無料法律相談を申し込んで行ってみた(2月の人と全然違う弁護士さんで、現状をうまく伝えられなかったのかもしれない)のだが、
結論としては、
〇〇さん(私のこと)の場合、協議離婚よりも、調停した方がいいように思いますよ、
というアドバイスを受けた。
そのポイントとしては、
・協議離婚の上、公正証書を作成して公正役場で手続きするより、調停した方が安上がり。
・そもそも、別居中の旦那さんと話し合えます?
と言われた。
仕事場でもそうなのだが、私は「自分でできる仕事」は、ガツガツやっちゃう方だ。調べごと、考えごと、情報収集も大好きだ。しかし、相手、仲間と調整することについて、苦手とは言わないが、相手にとって嫌がることを提案するのは、さすがに気が引ける。
ましてや離婚について、夫の意思がイマイチ把握できていないのに、提案、誘導していくことができるかどうか。気が重いのは仕方がない。

そして、この春、私の祖母が亡くなった。

※祖母自身はもうすぐ三桁に手が届く長寿で、心肺機能とは全然違う場所の不都合によって、瞬く間に食べられなくなり、この世を去った。逆に言えば、つい最近まで自分で食べ、排泄もできた。毎日、ひ孫である私の息子たちに挨拶をし、息子たちも新聞を届けたり、食事の準備ができたことを知らせに行ったり、日常的に関わっていた。嫁姑の関係である、私の母とはいろいろと諍いもあったようだが、なかなかうらやましい人生である。

私の母は、別居している夫に祖母の死去を伝えることを、希望した。もちろん、その希望を聞くまでもなく、私は夫に連絡を入れていた。
それについても私には思惑があり、夫にあとから知られたら、この先いろいろな面で厄介なことと、その頃、闘病中の義母や義姉に出会う予定があり、そのキャンセルや日程調整も含めて、義姉に連絡する必要があったので、彼女に気を遣わせたくなかったことが、その理由である。

夫からは、
わかりました。(葬儀等には)行きませんが、よろしくお願いします。
と返信があった(そういえば、喪服は持っていったようだが、数珠は我が家にある)。
いつも気遣ってもらっている年下の義姉からは、
弟(夫のこと)にも伝えた方がいいですか?
という感じの丁寧な問いかけもあり、いや、こちらからすでに連絡とっています、と返答した。

これまでもそうだが、もともと親戚付き合いを避けたい夫が、今回の件でわざわざ仕事を休んでまで、我々の居住地域に足を運ぶとは思えなかったので、その件を私の母に伝えるくらいで、特に期待も落胆もなかった(私だけでなく、3人の子どもたちにとっても)。

葬儀が終わるまで、仕事や日常生活を離れ、祖母の死を悼みながらも、自分の今の問題を考える時間が多くなる。

いつ離婚をするか。
今まではなるべく早くけりをつけたい、とも思っていたのだが、今はまだ、子どもたちとの生活において、たいした出費もなく、ワンオペ育児と仕事に邁進する日々ではあるものの、夫の世話や束縛からは自由な生活を手に入れた。
特に、問題なく過ごせているのならば、大病を患い、言葉を失い、闘病生活を送りながらも、私の子どもたちにとって愛情を注いでくれている義理母が、その命を終えるまで、私も法律的につながっている方が、何かと動きが取りやすいのであるのなら、それもまた一つの選択肢ではないか、とも思う。

そうこうしている間に、夫にとって新たな人生を歩みたい、というような展開になるかもしれない。

そしてこの待機状態は、先生にとっても、要らぬプレッシャーを与えず、やんわり今のこの不倫を続けるためには良いように思う。論理的ではないかもしれないが、あくまでも離婚は私と夫の不仲が原因で、離婚する頃には、身近に先生がいない方がいい、具体的に言うと先生と私が同僚でなくなってからの方がいいように思うのだ。

先生は、自分が既婚者だとはっきり私が知ってしまうまでは、なにかと私に対して、
早く離婚してくださいよ、
こんな(結婚)指輪、まだしてるんですか、
と冗談だか、本気だか、わからないトーンでよく話しかけてきていたが、今は一切そんな冗談は言ってこない。
言えば、私が
△△さん(先生のこと)こそ、奥さんと別れる気あるんですか?
と返答してくることが予想されるからだろう。

一度くらい、上のような質問をしてみたいが、私は不倫する男性の口から出てくる、自分の家庭に関する発言は信用できないので、基本的に質問しても、意味がないと思っている。
百歩譲って、信用に足る内容だったとしても、あくまでもそれは男性自身の意思だけであって、女性側の気持ちや考えは入っていないのだから、先方の結婚生活を正しく判断するには、不確定要素が多すぎる。 

だから訊ねても意味がない。
ましてや、私の車の中で、窓ガラスが曇ってしまうほどの勢いで性的な関係が繰り広げられている最中に、あるいは事前事後に、そんなこと質問したり、話し合ったりすることは、この関係の継続を妨げるような気がする。

と、ここまで書いたが、要するに今の関係を壊したくないから、質問する勇気がないのである。
私の人生の中で、法的に堂々と性的関係を持つことができる相手を失いかけている今、先生は心を許せる貴重な存在だ。だから丁重に扱うべき相手だし、いつ会えなくなっても、今の気持ちを、幸せな記憶として留めておけるように、また文章化しようと思います。

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