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家内制手工業

高校生の息子が通う学校は、親の承認と事前申請さえすればアルバイトがOKな学校。

やれともやるなとも言っていないですが、うちの子はしていません。周りも何だかんだいってあまりやっている人はいないようです。

でも何かとお金は必要。

いつも冗談半分で「ポスティング手伝う?配ってくれた分は払うよ」と声をかけても「大変で面倒くさそうだから大丈夫」と断られます。

ところが先日どうしても少しお金が必要だったようで、何か手伝いたいというので、風が強過ぎてポスティングには行けないし、そもそも他の人にやらせてはいけない契約だから「配るチラシの印鑑でも押すか?」と言ってみたら「1枚いくら?」と価格交渉が始まりました。

そもそもポスティングしていただける報酬は1枚4.5円。この額からしたら1銭たりとも目減りさせたくないですけれども、珍しく前向きな感じでしたので「1枚0.5円なら払えるよ」と恐らく受け入れることはないだろうと思いながら言ってみたところ、やりたいとの返事が。

プチバイトでやってもらうことにしました。

印鑑自体ほとんど押した経験がないので、まずは印鑑の向きや押し方を伝えて、あとはチラシのどこにどういう感じで押すかを教えて、コツと注意点を伝えて、何枚か見本を見せて、残っているチラシ全てに押印してもらいました。印鑑も3種類渡して「飽きて心が折れたら印鑑変えてみな!」とメンタルアドバイスもして。

自分の好きな音楽をイヤホンで聴きながら、たまに「疲れた〜」「腰が痛くなってきた」「ハァ〜」「まだこんなにある〜」「………」とブツブツつぶやきながら、一生懸命頑張ってくれていました。

そして3種類の印鑑を渡した時は「意味不(イミフ)」って笑われましたけれど、時間の経過と共に父の言っていた意味が分かったようで、3種類のハンコを入れ替え気分転換しながら「これは押しやすいとかこれはダメ」とか品定めをしつつメンタル面も乗り越えていたようです。

さて、その間私は何をしていたかというと、3月3日を過ぎてからリビングを通過するたびに、かざってあるひな人形がそろそろ片付けた方がいいんじゃないオーラを常に出し続けていて、それでも何かと忙しくてこの日まで飾ったままだったのですが、息子の作業のおかげで自分の手が空いたので、たまに息子に声をかけながら、ひな人形の片付けを行っていました。

午後にポスティングにいく予定で、午前中に印鑑押しをする予定でしたから、息子のプチバイトのおかげで、ずっと気にかかっていたひな飾りの片付けが出来ました。

お互い1時間ほどで作業は終わり、抜け漏れをチェックしたあと、枚数計算をして報酬をPaypayで即送金してあげました。オンラインゲームの課金か何かで必要だったようで「ありがとう」と言い放ったあとそのまま勉強部屋、いやゲーム部屋へスタスタと上がっていってしまいました。

結局この日の午後も風が収まらず、強風が凄すぎてポスティングはできず。

そしてその翌々日。

また息子から「ハンコ押しな〜い?」と。

私:「この間、配りに行けなかったから次のチラシ配送してもらってない。残念でした~」

この間稼いだ金はもうゲームに呑み込まれたか?
でも1枚0.5円でやってくれるなら時間的にも労力的にもけっこう助かっちゃうんですよね。

たまにこの家内制手工業の仕組みを利用して、Win&Winの取り引きをしていこうかなと思います。