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不条理短篇小説

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現世に蔓延る号泣至上主義に対する耳毛レベルのささやかな反抗――。
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2019年12月の記事一覧

短篇小説「ポジティブ刑事」

短篇小説「ポジティブ刑事」

 ポジティブ刑事が現場へ急行している。拳銃を忘れて走り出してしまったがきっと大丈夫だろう。なぜなら彼はポジティブ刑事だからだ。武器などないほうが物事はスムーズに運ぶことも時にはある。どんなにネガティブな状況であっても、それをポジティブに捉えなおすのはポジティブ刑事の真骨頂であると言える。

 そういえば防弾チョッキの着用を指示されていたような気がするが、ポジティブ刑事はいつものワイシャツにジャケッ

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