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訳ありアラサー女子の集いが面白い!『地獄のガールフレンド』

こんにちは。神保町にある「漫泊=一晩中マンガ体験」MANGA ART HOTEL代表の御子柴です。

今回は「FEEL YOUNG」で連載していた大人の女性向けの作品のレビューを男である自分からしてみたいと思います。『地獄のガールフレンド』です。

キャラクターに共感せざるを得ない「あるある」感

以前ドラマ化した人気作品で、アラサーの方に共感の嵐!みたいなことが帯に書いてありました。たしかに、女性同士の「会話」のシーンが多いです。異色の女子3人と男1人がひたすら会話をしている作品。

鳥飼先生の作品は「先生の白い嘘」や「サターンリターン」など、登場人物たちの「リアルさ」(と狂気)が際立っておりまして、シリアスな世界観に引き込まれてしまうものが多い気がします。

そういう意味で「確かにこういう人いるわ〜感」が凄かったのですが、本作の「こういう人いるわ〜感」は他の作品と比べて狂気めいたところがなく、緩くて暖かい感じに仕上がっております。

保育園のシーンで自己紹介で自分の趣味が思い出せなく、お母さん全員が「趣味は子育てです」というシーンとか完全にうちの奥さんの思考、発言パターンと同じだ……と思いましたね。

一日中子供の事しか考えられない状況になるし、過去の事は大変すぎて覚えてない。そんな母の価値観を的確に表した分かりやすさ。

普段混じり合うことのない価値観の女性たちから生まれる名言の数々

子連れシングルマザー。真面目セカンドバージンOL。独身モテ女。
この3人が生活圏内の距離感で会話すると、こういう話が展開されて、こういう結論がでるのか……。という通常では集わないはずのメンツによる「3人集まれば文殊の知恵感」が半端ないのです。目から鱗なのです。

「モテ女のナオさん」のカッコ良さと、男を代表して「処女厨の鹿谷くん」が会話に華を咲かせます。

3巻完結作。「男女における"結局"が、どこまでも平行線であること」と、「酸いも甘いも経験した大人が集う理由」をリアルに描いていて、ゆる〜く自分を肯定できる気持ちになれる作品です。

鳥飼先生の漫画は刺激的な印象がありましたが、この作品はリアルだけど肩肘張らずに読めて、そのうえ癒し効果も高めです。
女性にはもちろんですが、男性にも読んで欲しいオススメの1冊です!

『地獄のガールフレンド』 は MANGA ART HOTEL に【全3巻】が置いてあります。

WRITTEN by 御子柴 雅慶
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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