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「俺より強い奴に会いに行く」大人になった格ゲー好きのファイティングスピリッツに炎を灯す『ゲーミングお嬢様』

【レビュアー/西川裕貴

こんにちは! ゲーム制作会社「サイバーコネクトツー」の西川裕貴です。

皆さん「ゲーミング〇〇〇」といえば、どんなものが頭に思い浮かびますか?

ゲーミングPC、ゲーミングスマホ、ゲーミングデスク、ゲーミングチェアなどなど、e-Sportやゲーム実況・配信の盛り上がりと共に、ゲームを快適にプレイするためのアイテムが色々登場してきましたね。

ゲーム会社やクリエイターが快適にゲーム制作を行える環境を整えていくのと同じように、ユーザーが快適にゲームをプレイできる環境を整えていくのは、素晴らしいことだと思います。(※身体や環境に気を配るのは、好きなことを長く続けるために大切なこと)

そんな多種多様な「ゲーミング」界隈に、格闘ゲームを題材にした熱量の高い漫画が登場しましたので、紹介したいと思います。

日本屈指のお嬢様ゲーマー“eお嬢様”たちが集う超有名校「聖閣東芸夢学園(せいかくとうげいむがくえん)」。

「MOBA」「音ゲー」「FPS」など、各ジャンルの“eお嬢様”たちが「最も優れたお嬢様は誰か?」と日夜シノギを削って覇権を争う戦国時代において、圧倒的強さと“お嬢様力”で「格ゲー」のカーストを最上位に引き上げたお嬢様がいました。

そのお嬢様の名は「祥龍院隆子(しょうりゅういん・りゅうこ)」。

本作は大会優勝者「全一(ゼンイチ)」の称号をもつお嬢様・隆子をはじめとする“eお嬢様”たちの熱き闘いの物語です。

『ゲーミングお嬢様』は、原作・大@nani先生、作画・吉緒もこもこ丸まさお先生による、格闘ゲームやゲーマーを題材にしたコメディ漫画です。

本作を読んでいて最初に目を引くのは、登場する格闘ゲームが架空のタイトルではなく、実在する「ストリートファイターV」やそのシリーズ(※1)だということです。(※1 株式会社カプコンの許諾を得て連載されているようです)

「リュウ」使いのお嬢様が嵐のように飛び道具(波動拳)を撃ったり、「ザンギエフ」使いのお嬢様が相手を画面端に追い詰めて投げ技(スクリューパイルドライバー)を仕掛けたり……と、現実の対戦さながらの緊張感が漫画で見事に表現されています。

登場人物もユニークなお嬢様ばかりで、特に主人公・隆子様は「お嬢様のガワを被った格闘ゲーマー」のような設定で、腹を立てると台パン(※2)したり、興奮すると言葉遣いが荒くなったり、煽りや正論にブチギレしたり……と、お嬢様とは思えない過激な言動が多いのですが、本質的には意地っ張り屋で努力家で、絶対に諦めない精神力の持ち主です。(※2 台パン=ゲーム台をパンチすること ※良い子は真似しないでください)

そんな隆子様が時には冷静に、時には情緒不安定に格闘ゲーマーの頂点に上り詰めようと闘っていく姿には、読者も「ベガ立ち(※3)」しながら応援したくなること間違いなしです。(※3 ベガ立ち=ギャラリーがベガ様のように腕組みしつつ真っ直ぐ立ち続ける様子)

ここで少しだけ自分語りをしますが、私も子供の頃から格闘ゲームが好きで、最初に夢中になったのは「ストリートファイターⅡ」でした。

友達の家に遊びに行った時、友達に連勝しすぎて友情が崩壊しそうになったり、「俺より強い奴に会いに行く」とか言いながらゲーセンに行ったけれど、ボコボコに負けて帰ったり……と、格闘ゲームの対戦に明け暮れていた青春時代が懐かしいです。

『ゲーミングお嬢様』は、そんな私みたいな「昔は格闘ゲームを良く遊んでいたけど、最近は最前線から遠のいている」といったブランクのある格闘ゲーマーの、心の奥底に眠っている“ファイティングスピリッツ”に再び炎を灯してくれる、クレイジーなまでに熱い漫画です。

また「ストリートファイターV」の用語や格ゲー用語、ゲームあるあるが数多く登場するため、現役の格ゲーファンは勿論、ゲーム好きには堪らないネタ満載の漫画となっています。ゲームに詳しくない人が読んでも十分に面白い漫画ですよ。(誤解が無いように)

本作を読んでいると、プロゲーマーや格闘ゲームに対する「作者のリスペクト」が良く伝わってきますので、こういった作品と共に「格闘ゲーム」や「e-Sport業界」「ゲーミング界隈」が、今後もっと盛り上がっていったら素晴らしいなと思います。

そんな『ゲーミングお嬢様』ですが、現在「少年ジャンプ+」にて連載中で、単行本1巻が発売中です。

未読の方はこれを機に読んでいただき、今後はリアルタイムで連載を追ってもらえると嬉しいです。