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異世界転生したプー○ン大統領が異世界動物にライドン(騎乗)して無双する『ライドンキング』

【レビュアー/新里裕人

みなさんは『ライドンキング』という異世界転生漫画をご存じでしょうか?

本屋のファンタジー漫画コーナーで見かける事も多く、少し前から気にはなっていたのですが、いざ1巻を読んだところ、面白さに引き込まれ、一気に最新刊(6巻)まで購入するほど気に入ってしまいました。

まずはじめに、作者様に謝罪させていただきます。

この漫画、プーチン大統領が異世界で活躍するだけの出オチ漫画だと高をくくっておりましたっ!(笑)

本当にごめんなさい!!!!!!!!

一応補足すると、本作は架空の国プルジア共和国の終身大統領・アレクサンドル・プルチノフが異世界に転生し、そこで知り合った剣士と魔法使いの少女たちと共に冒険をする、という典型的な異世界転生ファンタジーです。

異色な点を挙げると、主人公プルチノフの外見がどうみても、ロシアのプーチン大統領にしか見えない、という事。

もう一つの特徴は、この主人公が、生物から機械まで、あらゆる乗り物に騎乗(ライドン)して乗りこなすことを至福を感じる嗜好の持ち主であるという事。ドラゴンやワイバーンの跋扈(ばっこ:のさばり、はびこることの意)するこの異世界はまさに宝の山!

主人公は、困っている人々を助けつつ、立ちふさがるモンスターたちを次々と騎乗(ライドン)し調伏していきます。

……あらすじだけまとめると、やっぱり出オチ感しか感じませんが、本作は、きっちりとした設定とプロットが練り込まれた、非常に上質のヒロイックファンタジーです。

ファンタジー設定が練り込まれたストーリー展開

例えば主人公が最初に訪れた街では、半人半馬の種族ケンタウロスを奴隷のように使役する領主の娘と、仲間を率いて街を襲撃するケンタウロスのリーダーとの争いに巻き込まれます。

悪役の貴族VS虐げられる亜人種という、ファンタジー典型の勧善懲悪ストーリーと思わせておきながら、その争いに根付いていたのは、ケンタウロス族が過去に犯した傲慢が生んだ憎しみの連鎖であったことが明かされます。

そこには「4つ足の人馬」という種族的な特徴が関わっており、いかにも悪役然と登場した領主の娘の行動原理にしっかりと結びつきます。

すばらしいのは、ここに主人公の持つ「ケンタウロスに騎乗(ライドン)したい!」という欲望も絡んでくるので、彼らに関わることの説得力もあるという事です。

視点の違いによる正邪の転換が描かれている

主人公一行は、やがて魔族との対立から、彼らの本拠地を目指すことになります。

面白いのは、人間たちが「魔境」と呼ぶその地域を魔族たちは「聖王国」と呼んでいるという事です。

人間側が自分たちの正義を主張する一方で、魔族たちにとっては、人間こそが邪まで穢れた存在と感じているわけです。

ありきたりな勧善懲悪ではない価値観がリアルに感じられます。

主人公が「強い」ことにちゃんと理由がある

主人公は1話で既にワイバーンを投げ飛ばすほど怪力で、途中からはとうとう、か●はめ波が撃てるようになります。

無茶苦茶です。無茶苦茶な強さですが、ここに関してもきちんと理由があります。

主人公が騎乗(ライドン)したモンスターの中には、そのまま味方となって同行する者もいるのですが、彼らがなぜかパワーアップしていく理由にもつながっています。

主人公の行動原理「騎乗(ライドン)したい」が⇒「仲間集め(パワーアップ)」⇒「新しい国造り」という感じに、どんどん大きなスパイラルとなっていきます。

筋肉サイコー!

作者の馬場康誌先生は、以前に『空手小公子 小日向海流』という格闘漫画を書かれていました。

その作品からもにじみ出ていた「筋肉愛」は本作も健在、というか、ミノタウロスとかオーガとか人類の限界を超えた筋肉も書けるようになったので、それを上回っているような気もします。

まずは、何かと脱ぐ主人公のほれぼれする筋肉美をご堪能下さい!

コミックス1巻を終わりまで読めば、本作の完成度の高さが分かると思います。ぜひ読んでみて下さい!