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アラサー女子の「婚活問題」と非リア男子の「童貞問題」の相似形。非リア心をエグられるのが痛気持ちいい『ボーイズ・オン・ザ・ラン』

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

【レビュアー/荒井健太郎】

 痛みを知る、すべての男たちへ。あるいは、すべての痛い男たちへ。三十路目前、そろそろ選択しようじゃないか、我が人生! 超等身大ダメ男・田西敏行の遅咲き青春ブルース!!
妄想ばかりのダメ男に訪れた、一世一代の恋愛チャンス!  職場の飲み会で、憧れの後輩・植村ちはると初めて話せた田西。そこからメール交換も始まり、ふたりの仲は徐々に進展していくのだが…!?


こんにちはマンガサロン『トリガー』インターンの荒井です。『東京タラレバ娘』3巻発売おめでとうございます!!『東京タラレバ娘』は毎回楽しみに読んでいます。「こうはなりたくないなwwww」とか、あー「友人の○○とか絶対こうなるじゃんw」とか、そんな話しで盛り上がる人も多いと思います。そんなこんなで、タラレバ談議で盛り上がっていると、ふと後輩(タラレバ候補)に薦められたのがこの『ボーイズ・オン・ザ・ラン』でした。

意気揚々と読み始める私…しかし、最後まで読み終わってみると「あれ、これ俺の数年後暗示してる?」「暗に後輩からそう言われてる?」と果てしない不安が私を襲いました。「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」…花沢先生なので覚悟はしていましたが、これまた、とことん救いがない。それゆえ、我々非リアの心をしっかりとエグってくれて、むしろイタ気持ちいい!!

だからこそ、大好きでやめられないのです笑

主人公はクズ

この漫画の主人公熱血系クズの田西(26歳彼女なし)は、ガチャガチャの中身を販売している会社の営業マンです。漫画の冒頭はテレクラに行くシーンから始まります。盛大にハズれを引いて、とりあえずヤるのですが、実はヤクザの女で追いかけられボコボコにされます。こういうのに下手に手を出すとろくなことないですね。

どう動いても残念

そんな田西ですが、会社の同僚のちはるちゃんといい感じになります。この漫画の数少ない救いです。一見ちはるちゃんは理想の女の子のように描かれていますが、もちろん田西が出会う女の子なのでそれ相応に裏があります。
さらに、風邪をひいたちはるちゃんの家にいくチャンスが!!

しかし、そこはさすが、熱血系クズ田西!! ちはるちゃんの友達の誘惑に負けてしまいます笑 挙句の果てにイケメンライバルにNTR…。

ライバル会社の営業には青山という、もう名前からしておしゃれな、イケ好かないやつがいるんです。最初はいいやつなのかな、と思わせときながらの、NTRww。もう、これまた救いがない。仕事でも恋愛でも負ける。これほどの屈辱はありません。

この漫画の面白いところは、田西にチャンスがきて、どんなに頑張ってもうまくいかないんです。後半では、主人公がボクシングを始めるんですが、それもまたうまくいかない。

でもがむしゃらに頑張る。自分のプライドと常識と性欲にうまく折り合いをつけることができずに、ひたすら前に進む。失敗しても、駄目だと分かっても前に進むしかない。どんなに今モテる人、仕事ができる人でも必ず経験したことがあるような、思い出したくもない苦い経験がこの漫画には詰まってます。

今はリアルが充実していろいろ忘れている人も、非リア街道を突っ走っている人も誰もが共感して前に進める作品です。

熱血クズ主人公の田西の恋の行方は何処に!!非リア男子の痛い心を突いてくる。それが、この『ボーイズ・オン・ザ・ラン』!!その他、花沢先生の作品も心をいい感じに抉ってくれるのでぜひ


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