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”お手軽レシピ”は全然お手軽じゃない!料理に残業感を覚える私たちの心の叫び『すみれ先生は料理したくない』

【レビュアー/本村もも】

こんにちは。唐突ですが私は家事の中で、どうしても料理が好きになれません。

「料理が好きになれれば、人生の楽しみ・幅が広がりそう」と、克服を試みたこともありましたが、どうあがいても好きになれないまま、むしろその度に「あー…やっぱ私、料理したくないわ…」という気持ちの確信が増すばかり。

大人気漫画『きのう何食べた?』は大好きで全巻持っていますし、ドラマももちろんチェック済みで映画公開を待つばかり。その一方で、シロさんのつぶやく料理手順についてはチョットナニイッテルカワカリマセン…。

今日は、そんな私のように料理したくない人にとって、わかりみの深すぎる漫画『すみれ先生は料理したくない』の、わかりみポイントをご紹介します。

わかりみポイント1: 理想の人は、料理しない自分を受け入れてくれる人

本作の主人公・白雪すみれ先生は溢れ出る品格と、美貌を兼ね備えたピアノ教師。職業のイメージも相まって、勤務先の幼稚園の保護者からは「才色兼備な彼女は、料理もお手のもの」と、思われています。

すみれ先生1

『すみれ先生は料理したくない』(大久保ヒロミ/ぶんか社)1巻より引用

しかし本当のすみれ先生は、「料理は残業」と言うほどの料理嫌い。料理は食べ終わっても、新たに皿洗いという家事を生み出しますし、「料理は残業」とはまさに言い得て妙ですね。

そんな彼女が、料理をしない自分を愛してくれる人、なんなら代わりにごはんを作ってくれる人を求めストーリーは展開します。

男性が「お料理上手な子が良いな〜」と言っているのはよく聞く話ですが、私が「料理以外の家事は私がやるから、料理をやってくれる人が良い」と言っても、あまり喜んでくれる人はいません。

でも本当は世の中には、料理が好きな男性もいれば、料理が苦手な女性もいます。あとがきで大久保先生も軽く触れていますが、性別なんて些細なことに捉われることなく、得意なことは得意なひとがやればいいと思います。

わかりみポイント2:”お手軽レシピ”は全然お手軽じゃない

連日のスーパーのお惣菜や、コンビニ弁当で罪悪感を感じたすみれ先生が、料理をしようと思い立つエピソード。「超簡単!たったの3工程!」というレシピを見つけ、料理に取り掛かるすみれ先生。

しかし1つめの工程には「肉、ジャガイモ、玉ねぎをそれぞれ一口大に切り、水にさらす」とあり、これを見た先生が「1.肉を切る 2.じゃがいもを切る 3.玉ねぎを切る 4.それらを水にさらす、4工程いってない?!」と嘆きます。

すみれ先生3

『すみれ先生は料理したくない』(大久保ヒロミ/ぶんか社)1巻より引用

もう本当にわかりみしかない。料理しない人からすると、料理する人の1工程には、色んなことがまとめられ過ぎなんです。全然お手軽じゃない。あと同時進行の工程もやめてください。とくに火を使うものは、確実に茹で過ぎ、焼き過ぎになります。

”お手軽”レシピをお手軽と思えない自分に、軽く自己嫌悪を抱くところまで、ワンセットでわかりみが深いです。

わかりみポイント3:心を込めて既製品を買う

同僚にピンチを救ってもらったすみれ先生。実はいつも金欠のすみれ先生は、節約の狙いも多分にありながら、お礼に心を込めた手作りのクッキーを、と一念発起します。

しかしなかなかの手間と「クッキー作りってイリュージョンなの!?」という名言を残した末に、失敗。結局既製品のクッキーを買うことにします。

料理ベタがつくったまずいものより、プロが作った美味しいものを贈るため、心を込めてお金を払う。

バレンタインに既製品を贈るのだって、そこには立派な愛が込められています。「手作りチョコなんて、チョコ溶かすだけでしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、湯煎を舐めたらいけません。大切な人には美味しいものを食べてもらいたい、と願うからこその既製品なのです。(自分だって美味しいものが食べたい。)

すみれ先生のわかりみの深い歌を実際に聞きたい!映像化もぜひして欲しい作品!

すみれ先生は、料理のできる王子さまを探すため、さまざまな挑戦をし、失敗するとその気持ちを、ピアノに思い切りぶつけます。先生の弾き語りで紡がれる歌は歌詞がとてもキャッチーで、料理をしたくない人の気持ちを的確に表現している、非常にわかりみの深い歌となっています。

漫画の中では曲を聞くことができないため、ぜひ映像化してすみれ先生の歌を聞きたいです。そしてもし、実写ドラマ化するのであれば、できれば松下奈緒さんにすみれ先生をやって欲しいです。

以前ご自身の作品のドラマ化により、多忙を極めてしまった大久保先生は嫌がるかもしれませんが、なにとぞ!

すみれ先生2

『すみれ先生は料理したくない』(大久保ヒロミ/ぶんか社)1巻より引用

料理をしたくない方はもちろん、きっと料理が好きな方にとっても発見のある、双方が楽しめる作品となっていると思います。

そして何より『すみれ先生は料理したくない』を通じて、料理したくない勢の理解促進に繋がり、そんな人々も生きやすい社会になると良いなと切に願っています!