記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

そして、バトンは渡された【鑑賞後】

※映画レビューはフィルマークス→noteにネタバレも含みつつ加筆修正して行くことにします。はい、以下ネタバレあります!

鑑賞直後の印象

いいものを観たなぁ…という気持ちになれました。
原作は未読、特にこの映画に関しては極力情報排除しようと、予告も番宣もなるべく避けてきました。めちゃくちゃ圭くんもテレビ出てましたけども。番宣に繋がるところはかなり薄目でスルー。

思っていたよりコミカルに始まる冒頭のシーン。物語の世界には入りこみやすかったです。

個人的にはネタバレを避けてきた割に、あちこちにフラグが立ちまくっているのに気づいてしまったので、後半に明かされていく全ての謎や疑問は、驚きと言うよりは答え合わせになっていました。きっと、あえてわかりやすい仕掛けにしていたのだと思います。

それでも良かったのは、言わば「複雑な家庭環境」にあって振り回されたはずのみぃたん…彼女は、ちゃんとたくさん愛されて、だからこそ不幸なんかじゃなく、強さも持って成長できていたこと。

バトンに込められる意味

登場人物それぞれの愛のバトン。気づかずとも渡してきた「人生を彩るきっかけ」はきっと誰にでもあるんだと思います。
出会いも、できなかったことも、してこれたことも、人生は大小たくさんの選択の積み重ねで今がある。

森宮さんが作る温かみのある家庭の食事が優子の夢になる。その森宮さんが料理をはじめたきっかけがまた…。

幼いみぃたんが気持ちを救われたピアノ。その気持ちをママに伝えて、弾くことができたのは泉ヶ原さんの大切なピアノ。みぃたんの奏でる音色は、泉ヶ原さんのその後の人生に新たな彩りを与えた。

過去には届くことのなかったお互いの手紙も、その行為だけみたら酷いことと責められても仕方がないんだけれど、思いが届かなかったからこそ生まれた出会いがあって、

だからこそ「今」に幸せが生まれてるとしたら、誰が梨花を責められるだろう。思うが故に隠したり、思うが故に全てを話して甘えたり、奔放に見えるように飛び回って、まるで矛盾してるようなその行動にもちゃんと梨花の愛があった。

冒頭で「魔性の女」に見えるように上手く作られているから、1度は梨花のことは「この人大丈夫?」って思わされるんだけど、ちゃんとみぃたんのことを大切に思ってるなと安心できる部分を感じられたから、どんなにみぃたんを振り回してるようにみえても、不思議と嫌な気持ちにならなかったんです。 

人生は選択の繰り返し。

小さくても大きくても人生は選択の連続だから。どこで誰と出逢うか。自分だって何かをもらって、気づかないうちに他の人に何かを渡して、その人に人生の新しい何かを産んでいるかもしれない。
その時には絶対にわからなくても、全て繋がってきた「今」が楽しくて幸せでありたいし「今」は辛いなら明日は、この先は笑いたいと思う。

いいことも悪いこともあるけれど、できれば笑っていられる今と、これからを生きていたいなと思わせてくれました。

キャストについて

キャストは本当に良かったです。
特にみぃたん/来泉ちゃんの静かな感情の揺れ方、小学生の子の寂しさ戸惑い、喜びもそのまんまリアルに感じて何度もぐっと来てしまいました。うちの一番下の娘の泣き出し方にそっくりで、心からぎゅってしたくなるシーンがありました。

岡田くんと芽郁ちゃんの高校時代と再会シーン、そしてラストまでめちゃくちゃよかった。今の年齢だから、きっとこの世代を違和感なく全部できちゃうよね。青さも瑞々しさも可愛さも美しさも…すんごくいい。

大森南朋さん、市村正親さん、ねぇぇ!!?!?良き!!それぞれ男性としての優しさ、夫婦として間違えてしまう(ありがちな)情けなさ、逆に全てを許す懐の深さ…

水戸さんと梨花の口論辛かったけどあれはよくあるやつ。おまけに梨花は自分の弱さを隠してしまったし、夫婦の縁を繋ぎ直すことはできなかったけど、振り返ればそれもまたひとつの選択だったんだよね。

泉ヶ原さんさすがに人ができすぎですよね!?いくらお金に困ってない大人の男性とはいえ、全て理解して受け入れるなんてそんなのできないぞ!!!それでも「あっこの人ならできちゃうかも」なんて思わせちゃう市村さんの雰囲気よ…!

石原さとみちゃんはもう…言うことない。華やかな人がとっても似合う。でも実は、(あの美貌で)工場勤務の「華やか」とは言えない仕事をしてたり、シングル時代はパートでギリギリの生活をして、どうやら自分の血縁の家族には縁がなさそうな梨花…後半のシーンでもほんと美しかったですね…

森宮さん…!!圭くん本人には感じない「お父さん」の雰囲気。パパじゃないの。「お父さん」なのよ。なんだか(絶対圭くんには似てない)私の父にちょっと似てるの。

父親であろうとしすぎて時々やりすぎちゃって、優子に直接指摘もされてるのに何かしてあげたくてずっと考えてる。そうやって頑張って考えるような特別なことは優子には別に必要なくって、それよりも毎日のごはんはもちろん、何より一緒にいて一生懸命やってくれてること、そのものが優子には大事だったんだろうな…。

突然グランドピアノとか絶対買わなくていいやつだからね…(笑)もうあの時の優子には必要ないものでしょう。それよりは今後の何かに使う方がいいはずだもの。

ずっとちゃんとお父さんだった森宮さん。大切なバトンを渡しても、これからの人生幸せでいてね。

原作は違う部分もあるとのこと。これから読んでみます。

音響の話。

ピアノのシーンも多いけれど、料理や食事のシーンの音にこだわりを感じました。ぐつぐつ、トントン、サクサク、もぐもぐ、カチャカチャ、ことん。気持ちよかった。

ちょっと余計なことを

ひとつだけ。これは作品の出来や内容云々ではなく、PRの仕方の話です。
どうしても予告から泣かせようとするのが苦手で、これもそうだったのが残念です。
泣くかどうかは自分の心で決めたい。涙が出なくても心が揺さぶられたらそれで良いと思うから。

なお、今年の圭くんの映画ラッシュで1番泣いたのは総理の夫ですね…


以下おまけ。超個人的なシンパシー。

1.ボールが飛んできて主人公にぶつかっちゃうやつ。最近長女が体育中に経験したらしい(笑)「危ない!」「え?」バーン!!「大丈夫!?」そんな事あるんだ…笑(特に恋は生まれなかったようだし別に妬まれたりもしてない)

2.上手い人は他にいるのにピアノ伴奏押し付けられるやつ〜。私が中学で経験した。恋は生まれなかった…

3.新婦より新婦父の方が緊張してるパターンあるある。自分もそうだった…

4.子どもにピアノを習わせてるので、色々思っちゃったな〜。私も娘の伴奏聴きたいな。伴奏担当したことはあるけどまだ生で観てないんだ。ここ2年は中止になったイベントも多いから残念。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?