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「これが私の優しさです / 谷川俊太郎詩集」感想と日記

詩を読むことには少しだけ抵抗があります。美しい詩的な表現に影響されて恥ずかしいことを揚々としたためる自分が、容易に思い浮かぶからです。恥ずかしいだけは絶対に避けたい…。

谷川俊太郎は、好きです。ユーモアがあって言葉が生き生きしていて、遠くて近いところからやさしく眺めて語っているようで。すごいなあと、ばかみたいな言い方だけどそう思います。

"「そうか、海は海だってことか。」「ぼくはぼくだ。ぼくはいるんだ、ここに。」" (「コカコーラ・レッスン」より)

言葉というラベルをぺりっとはがしてよーく(もしくはぼーっと)眺めてみることで、突然はっとわかることがあります。あるいはささやかなはずみで。
それはものすごく恐ろしかったりもしますが、大事なことです。そして、その言葉を越えるところを美しい言葉で突き詰めているのが、味わい深いのです。(さくらももこの解説がまたいい)
近ごろは、表面をさっと撫でるだけで分かったふりも多くって、悲しくなります。

さて、自分を見つめることは難しいですが、自分なんてものはそもそも特に意味もなく探す必要もなく。まわりに形作ってもらっているだけで。

ただ、この人と(場所と)いることで私は私の好きな私でいられる、ということには注意深くありたい。のですが、失ってしまいそうになってはじめてとんでもなく怖くなって、じたばたする頃にはああもう手遅れ、ということがよくあります。ねえ。

なんだか抽象的な日記になりました。

ついでに余談ですが。今回私の買った文庫では、ひとつの詩の途中、変な箇所でページをまたがってしまうものがいくつかあり、なんというか読みにくかったです。ページをめくるアクションを挟んだらそこは変な意味を持ってしまうよねえ。やっぱりオムニバスのようなものより、それぞれの作品の、装丁造本のきちんとなされたものを選ぶべきでした。世の中にベスト盤はいらなかった…。

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