ChatGPTの命令文(プロンプト)について - 備忘録
ChatGPTから思ったような回答が欲しい!
ChatGPTは、それ自体からBing AIなどいろいろなところで使われるようになっています。
でも、聞いても思ったような回答が返ってこないというケースも多々ある思います。
というわけで、今回は自分自身の備忘録を兼ね、どのような命令文であれば、欲しい回答が返ってくるのかを調べてまとめてみたいと思います。
そもそもプロンプトとは?
プロンプトとは「○○をして」「○○とは何?」のようなChatGPTにしてもらいたいことを指示する文章を指します。つまりお願いするための命令文と言えます。
例えば「日本で一番低い山は?」「飼った犬に名前を付けたいので案を出してください」など「知りたいこと」や「してほしいこと」を書いたものがプロンプトです。
ChatGPTプロンプトのパターン
プロンプトにはいくつかのパターンがあります。
欲しい結果に対して、どの種類のプロンプト使う必要があるかを十分に考慮する必要があります。
ChatGPTのプロンプトの主に以下の8つのパターンになるかと思います。
1 質問型パターン
質問型パターンは問いに対する答えをChatGPTに求めるタイプのベーシックなプロンプトです。
ただし必ずしも正確な答えを返すわけではないので注意が必要です。
例: 「ニューヨークの観光名所は何ですか?」、「AIとは何ですか?」、「記述統計量とは何ですか?」。
2 指示・命令型パターン
指示・命令型パターンは、ChatGPTに特定のアクションを実行するよう指示するプロンプトで、最も性能を発揮すると言われています。
例: 「文章を要約してください」、「文章を翻訳してください」「夕食のレシピを教えてください」、「100個のパターンを出してください」、「小学生にもわかるように説明してください」、「以下の文章を100文字以内で要約してください」、「〇×とは何か教えてください」など。
3 補完型パターン
補完型パターンは入力したテキストに続くテキストを ChatGPT に補って文章を続けてほしい」ときに使用するプロンプトです。
例:「織田」とだけ入力すると「織田(おだ)は、日本の歴史において重要な役割を果たした家系~」などと説明がはじまる。
4 対話型パターン
対話型パターンは、ChatGPTとの間で対話形式のコミュニケーションを行うプロンプトです。
特定のトピックを与えて、それに関する情報や意見を生成してもらいます。ディスカッションやディベートのような形式で出力するといったことも可能で、このパターンを使えば、特に聞きたいことがない時でもChatGPTを話し相手にすることができます。
例: 「やあ、ChatGPT。今日は何を勉強すればいいと思う?」。
5 物語生成型パターン
物語生成型プロンプトは、ChatGPTに物語やストーリーを生成するよう指示するプロンプトです。
「創作」「創造」といった分野もChatGPTは得意です。
ただし、何度もやり直しをしながら「設定」や「制約条件」を細かく決めこんでいき条件が狭くしていく必要がある。
例: 「森の中に住む妖怪の物語を始めてください」。
6 コード生成型パターン
コード生成型パターンは、ChatGPTにプログラムコードを生成するよう指示するプロンプトです。
例: 「Pythonでファイルを読み込むコードを生成してください」、「Rで負の2項回帰を行うコードを生成してください」。
7 実演型パターン
実演型パターンは、ChatGPT に対して、何か例を提示したうえで、例をもとに何らかの推測を行ってもらうプロンプトです。
例えば、事業環境の強みと弱みを提示して、新たな条件を入力したとき、それが強味なのか弱みなのかを推測します。
最初に、いくつかの例を提示して、最後に質問すると、ちゃんとした回答を出してくれます。
希望する回答や推測の形を実演して真似をさせるプロンプト例:「嬉しい=プラス、悲しい=マイナス、楽しい=プラス、寂しい=」と送信すると「マイナス」と返答する)
8 クリエイティブコンテンツ型パターン
クリエイティブコンテンツ型パターンは、ChatGPTに詩、歌詞、コピーライティング、アイデアなどのクリエイティブなコンテンツを生成するよう指示するプロンプトです。
例: 「冬をテーマにした歌詞を書いてください」、「ホテルのソーシャルメディアアカウントでの投稿を作ってください」。
ChatGPTのプロンプトを有効に活用するためのポイント
・具体的かつ明確に伝える
ChatGPTのプロンプトは具体的かつ明確な内容にすることが大切です。
例えば、ある商品のPR文を複数出力させたい場合「良い感じに勧められる文章をいくつかください」といった曖昧な指示では欲しい回答は得られません。
「ECサイトに掲載するための商品のPR文を5つ考えてください」といったように、具体的かつ丁寧に伝えると期待する回答を得やすくなります。
・参考になる情報を与える
ChatGPTは参考情報を与えることで嘘の少ない回答を生成しやすくなります。
前述の商品PR文であれば、参考にしてほしいソースとして商品の詳細情報や仕様をプロンプトに含めましょう。過去に人の手で作成した商品PR文がある場合は、ChatGPTにとっては参考となる情報になるので、与えるとより効果的です。
・条件を指定する
ChatGPTは様々な指示に対応しており、希望とする条件をプロンプト内に含めることで適した回答を生成してくれます。「文字数は200文字前後で」「重要なポイントを3つ紹介する形で」「最初に結論を書いてください」のような条件も自由に設定可能です。
「ターゲットは年配層(50〜60代)」などとペルソナを条件としてプロンプトに加えることもできます。
・表現方法・出力形式を指定する
ChatGPTは回答で使用する表現方法や出力形式も指定できます。「文体はですます調で」「1対1のインタビュー風に」「必ず一つ以上の箇条書きあるいは表を含んで」のように、希望する方向性を詳細に伝えると質の高い返答を得やすくなります。
また、複雑な内容を簡単に解説してもらおうとする場合には「小学生でも理解できる表現で」のような一文をプロンプトに含むことがよくあります。
・追加で質問を行う
ChatGPTは文字数に上限はありますが、それまでの会話内容を把握しています。そのため、最初の会話で期待した回答が得られなかった場合には、そのまま追加の質問や指示を行うことでより精度の高い返答を受け取れます。
回答があまり面白くなかったのであれば「よりマニアックなアイデアを」、解説が薄かったのであれば「各見出しを深掘りして」などと方向性を伝えましょう。
プロンプトの型
その1 深津式プロンプトとは?
深津式プロンプトとは、株式会社THE GUILDのCEOである深津貴之氏が考案したシステムです。以下を基本形に、ChatGPTの立場や制約条件をその都度変更して使用します。
深津式プロンプトの特徴
冒頭でChatGPTの役割を明確にする
入力文から出力文を作ることを明確にする
何を出力するのか明確にする
マークアップ言語を用いて、本文ではない箇所を明確にする
命令を箇条書きを用いて明確にする
条件を追加することでChatGPTからの出力をコントロールする
【深津式プロンプト】の例文
# 命令書:
あなたは、プロの編集者です。
以下の制約条件と入力文をもとに、最高の要約を出力してください。
# 制約条件:
・文字数は300文字程度。
・小学生にもわかりやすく。
・重要なキーワードを取り残さない。
・文章を簡潔に。
# 入力文:
<ここに入力文章>
# 出力文:
一語一句をそのまま流用する必要はなく、書き方の方向性を真似るだけでもChatGPTから優れた返答を引き出しやすくなります。
その2 ReActプロンプトとは?
ReActプロンプトとはChatGPTに「入力された文章→初期の推論→必要な具体的な行動の考察→再度アクションを踏まえた最終的な見解・観察」と段階を踏ませて質の高い返答を求めるシステムです。
この推論→行動→観察のプロセスを繰り返すことで、タスクの解決に向けてより詳細で高度な出力を導き出すことが可能です。入力プロンプトも非常にシンプルなのが特徴です。
名前のReActとは「Reasoning+Act」を意味しており、以下のような形式で使用します。
【ReActプロンプト】の例文
・ここに質問したい内容(例:優れたマーケターになる方法を教えてください)
・Thought:
・Action:
・Observation:
上記のプロンプトを送信すると、ChatGPTはThought→Action→Observationと順番に生成します。結果、最後のObservationは初期のThoughtからActionを踏まえた回答に進化しており、より鋭い意見を提供してくれる仕組みです。
その3 ゴールシークプロンプトとは?
ゴールシークプロンプトとは、自分の目的に必要なプロンプトをChatGPT自身に作成してもらえるシステムです。具体的には、最初に以下の指示をChatGPTに送ります。
【ゴールシークプロンプト】の例文
あなたに私のプロンプトエンジニアになってほしいと思っています。あなたのゴールは、私の目的を達成できる最高のプロンプトを考えることです。完成したプロンプトはChatGPTで使われます。
以下の手順に従って行ってみてください。
STEP1:
最初に何のプロンプトを希望するのか私に質問してください。私が回答した後、次のSTEP2とSTEP3を何度も繰り返して改善しましょう。
STEP2:
私の入力を元に、以下の2つのセクションを作成してください。
a:改善されたプロンプト(あなたが書き直したプロンプトを、簡潔に、明確に、簡単に理解できる形で記載してください)
b:質問(現在のプロンプトを改善するために必要な情報を私に質問してください)
STEP3:
この反復プロセスは、私が追加情報を与え、あなたがa:改善されたプロンプトセクションをアップデートし、私が完了したというまで続けます。
すると、ChatGPTから今回作成するプロンプトの目的を質問されます。回答すると仮のプロンプトが提示され、同時に追加質問が行われます。それに回答すると、また改善されたプロンプトが提示されてさらなる質問が…とサイクルを繰り返し、質の高いプロンプトが完成する仕組みです。
ChatGPTのプロンプトの活用の一例
では、実際にChatGPTのプロンプトをどのように扱うべきなのか、活用例を見ていきましょう。ここでは、シーン別のプロンプト例と生成結果(GPT-4)をご紹介します。
1.記事の作成
ChatGPTが生成する記事はまだまだ品質や信頼性に問題があります。人の手による確認と改善は必須ですが、短文であれば以下のようなプロンプトで記事のたたき台を作ることはできます。
<プロンプト>の例
あなたは20年以上のキャリアを持つプロのマーケターです。
以下の条件に基づいて、テーマ「既存顧客との関係維持」に関する短編コラムを執筆してください。
【条件】
・文字数は300文字前後
・見出し数は2つ
・マーケティング分野からの視点
・消費者行動からの視点
・ビジネス向けの文章
2. 文章の要約
文章の要約はChatGPTが得意とする作業の一つです。新たに文章を生み出すのではなく、既にある内容から要約するため、まったくの嘘や偽りが含まれにくい傾向にあります。
上記で生成したコラムを要約させてみましょう。
<プロンプト>の例
あなたは20年以上のキャリアを持つプロの編集家です。
以下の条件と情報に基づいて、文章を要約してください。
【条件】
・150文字以内で要約する
・重要なポイントはすべて含む
【要約する文章】
「(上記のコラム全文)」
3. 文章の校正・添削
ChatGPTは文章の校正・添削にも利用できます。記事の生成と同様に人の手による確認は必須ですが、初期チェックとして役立てることが可能です。
上記の要約したコラムを校正・添削させてみましょう。
<プロンプト>の例
あなたは20年以上のキャリアを持つプロの校正者です。
以下の文章の誤りと、改善点できる点を指摘してください。
【校正する文章】
「(上記で要約したコラム)」
ChatGPTは業務で活用できるか?
ChatGPTは文章が関わる様々な業務を担うことができると思いますが、プロンプト次第でさらに使える幅が広がるはずです。
例えば…
・マニュアル作成
・文章の作成
・テキストの要約
・テキストの分類
・SEO記事の本文を書く
・翻訳
・英語や日本語のコピーライティング
・情報の抽出
・議事録・レポートの作成
・リサーチやデータの収集
・アイデア出し
・質疑応答や会話
・コードの作成
・プログラミングのバグを発見
・計算
ぜひ仕事だけではなく、ご自身のための様々な用途で使っていきましょう。
拝読いただきありがとうございました。
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