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日本の美意識が世界を救う

モノを書くのがめんどくさく、note を開かずじまいの日々がまたしばらく続いた。

別に書くことは仕事でもないし、書かなきゃいいじゃんということになるのだけれど、何らかのかたちでこうしてアウトプットもしてないと、世間から置いてけぼりをくらうような感覚をぬぐえず、またこうして書いている。

今回書く気になったのは、勝手に日本人の使命感的感覚が芽生えたからです。

きっかけとなったのは、世界的に話題になっている痩せ薬(肥満治療薬)に関するニュース 。

日本でも今年に入り、デンマーク企業が開発した「ウゴービ」という肥満治療薬が保険適用で発売されたらしい。

肥満治療薬は脳の満腹中枢に働きかけ、空腹感を軽減することで食事の量を減らし、肥満を治療してゆく薬らしい。

治療も何も、肥満にならない方法は「食べない」の一点につきると思うのだが、現代はこの 「食べない」という行為が非常に困難な状況に置かれているようだ。

現在、この痩せ薬開発企業の株価は爆上げ状態となっており、2030年頃の市場規模は15兆円と、2023年比で16倍にのぼるという試算もあるとのこと。

一方、2035年頃には、肥満・過体重の人口が世界で40億人を超えるともいわれている。

もはや肥満は「肥満病」というフェーズに入ったようだ。

昔はうつ病といった病名もなかった時代があったが、ある時から病気と定義されるように なったのと同じように、肥満は治療が必要なもの=「病気」として、世界的に対応が迫られる時期に入ったらしい。

信じられないような話だけれど、「食べすぎない」ということができず、深刻に悩む 人々が世界中にたくさん増えているということだ。


モノへの依存という足し算的発想

ぼくは、モノへの依存度が高い人ほど太るリスクが高まるような気がしている。

何か日常生活の中で改善したい物事が出てきた際に、モノで解決しようとする発想は、足し算の発想である。

例えば、ダイエットのためにトレーニングマシーンを買うとか、二日酔いにならないためにウコンの力を飲むとか、プレゼンの前に気合を入れるためエナジードリンクを注入するとかいった発想が足し算の発想である。

これらに対し、ダイエットのために車を使わず歩くとか、二日酔いにならないためにお酒の 量を控える、プレゼンに平常心で臨めるよう、マインドフルネスで精神を落ち着かせる、といった発想はモノへの依存という観点から見ると、引き算の発想になる。

肥満治療薬がこれだけ注目を浴びているのは、薬という「モノ」での解決を図ろうとする、 足し算的発想を根底に持つ人が多く存在する証拠だと思う。

薬という「モノ」を取りいれることで食べない状態にもってゆくという発想は、足し算的である。

ちなみにモノへの依存といえば、数年前に話題になった書籍「スマホ脳」には、夜にスマホをいじる時間が長い人ほど空腹ホルモン 「グレリン」の分泌が増えることで食欲が増し、太る傾向があるという研究データがあると書かれていた。

このように普段から何かにつけ「モノ」でもって解決しようとする足し算的習慣を持っていると、生活習慣そのものを見直す機会が減ってしまうのではないだろうか。

その前提に立ち、ぼくが常日頃考えている、日本的美意識や宗教精神が肥満防止にはとても有効であるという意見を発信してゆくべきというのが、今回ぼくが勝手に感じているはかない使命感です。

もっと拡大解釈すれば、モノの大量生産・大量消費がもたらす諸問題に対し、日本的美意 識によるアプローチは重要な役割を果たすはず。

引き算の美学

日本には、引き算の美学という文化がある。

禅を代表とする「侘び寂び」とか「もののあはれ」といったものに通ずる価値観である。

飾らず、質素なところに美しさを感じる感覚は、理屈なしで日本人なら理解できると言 われる。

肥満治療薬の開発という発想は足し算的発想と上述したが、肥満治療薬に限らず、新薬採用の多くが欧米発となる背景には、こういった文化的価値の違いが関連しているのではないだろうか。

40代、低体重

ぼくは普段から会社の同僚や友人に「どうしたら太らずにいられるのか」と聞かれることが少なくない。

現在ぼくは40代前半だが、別の記事にもかいている通り、BMIは18ぴったりぐらいを数年以上維持している。良く言えばシンデレラ体重、現実的に言えば低体重である。

健康的にはどうかと思うかもしれないが、今のところ、何ら不調は感じていないので、自分的には「自分に見合った体型」の範囲内ととらえている。

元々痩せ型ではあるが、40代にさしかかる頃に一時体重が微増し、お腹が気になり出したことがあり、それから徐々に食べる量や食べ物を見直していった結果、BIM18が定着するようになった。

維持していると言っても、何か特別なことをやってるわけではない。強いていえば、朝ごはんが紅茶とバナナだけというのはダイエット的だろうか。

でも時間がなくて朝ごはんを抜く人も多いだろうから、やはり特別なことではないと思う。

そんなぼくから言わせてもらうと、太らない方法は基本的には一つしかないわけで、体重が増えたなら、それは消費カロリーを摂取カロリーが上回っているというだけのこと。

ぼくは小学校から高校まではサッカー三昧であったから、当時はスポーツをやらない人に 比べたらたくさん食べ物を摂取していたと思う。でもその分、現在と比べたら何倍ものエネルギーを消費していたから、決して太ることはなかった。

現在はうってかわってデスクワークの日々。

若い頃に比べたら、消費カロリーはだいぶ落ちてしまっている。

でも現在の体重は現役時代より8kgぐらい少ない。

ジムに通ったり、ランニングをするわけでもなく、食事も我慢して制限したりはしていない。

でも運動も食事も、我慢はせずとも“意識”は自然とするようになっている。

ここで有効になるのが、引き算的発想を発動させることである。

日常行為における美意識の例


どういうことかというと、例えば、

・朝は、排出物を出すことからはじめる。
1日のはじまりである朝は、排泄行為の時間とする。体の中のものを排出し、体の中をリセットする。だから朝食は、排泄が済む前にはとらない

・通勤電車の空席を我先に奪おうとせず、誰かに座らせて自分は立つ=一歩引く美学

・エレベーターに並ばず、階段を使う(これも一歩引く美学に通ずる)

・細マッチョな見た目を維持するために、朝の出勤前と夜の帰宅後、それぞれ5分だけ腹筋と腕立てを1日おきに交代でやる。(これは視覚的な美意識ですが・・)

「一歩引く」というのもやはり美意識に通ずると思う。

アーティスト・オブ・ライフ


ぼくの場合、食べ過ぎないことが習慣化されている背景には、このような禅的思想(引き算の美学)が大きく影響しているように思う。

「アーティスト・オブ・ライフ」という言葉がある。

これは、日本の禅を世界に広めた鈴木大拙の言葉。日本語だと「生きることの芸術家」と いう表現になるらしい。

ぼくなりの解釈だと、この「生きることの芸術家」というのはまさに美意識とか美学を自分なりに持った生き方のことであり、食生活にもこの感覚をもって向き合うことを心がけている。
人によって何が美学かはそれぞれだから、自分の中で美学と思えれば、考え方は自由だ。

例えば僕の場合、

・栄養補助食品に頼らず、食事で完結する

・自分で料理を作る時は、一汁一菜を基本とする

・地産地消を心がける

・加工食品はなるべく避ける

・お酒は基本、心身ともに健やかにする百薬の長と定義し、嗜む程度に飲む

といった具合に。

お酒については、江戸時代の儒学者・貝原益軒も、健康指南のバイブルとして知られる『養生訓』の中でこう書いている。

「酒は天の美禄なり。少しのめば陽気を助け、血気をやわらげ、食気をめぐらし、想いを去 り、興を発して、甚だ人に益あり」

質素な生活の効用


ぼくは、足し算的発想で生活を快適にすればするほど、運動志向もまた削がれてしまう危険性 が高まると思っている。

エアコンしかり、高級ベッドしかり、ゲームとか快適なソファで映画鑑賞とか。
家にプールやスポ ーツジムを設置できるほどの金持ちは別として。

アクティブカウチポテトに陥るのもこの例に入ると思う。

幸いぼくの場合、20代で子供を授かったこともあり、若い頃から経済的な余裕がない生活を送る必要に迫られたことが、太らない習慣を身につけることにつながった気がしてい る。

例えば、ぼくの部屋にはエアコンがない。リビングや子ども部屋にはあるが。

だからクソ暑い夏や逆に寒い冬の休日は、読書などをするために、快適な図書館やカフェを求めて外に出る。

そこに移動という運動が生まれる。

また、車はガソリン代がかかるから、近隣の移動は常に自転車を使う生活が今や習慣となっている。

科学的根拠との関連性


ちなみにエアコンがないことと太らないことは、科学的にも説明がつくかもしれない。

人間の体に存在する脂肪細胞には、白色脂肪細胞と呼ばれるものと、褐色脂肪細胞と呼ばれるものがあるらしく、白色脂肪細胞が糖質と結びつき体に蓄える性質なのに対し、褐色 脂肪細胞は、脂肪をエネルギーとして消費する性質をもつらしい。

つまり褐色脂肪細胞が多い人ほど、痩せやすいということが研究でわかっているそうだ。

そしてこの褐色脂肪細胞は、冬に寒い場所に身を置くことで活性化されるらしい。

これは、元々の動物の体のメカニズムによるものであるため、夏にエアコンで寒くしても効果は期待できないとのこと。

さらには、冬の寒い中で辛いものを食べると、よりこの細胞が活性化されるようだ。

ぼくは辛い物も大好きである。

死に方の美学


最後に、食べることを抑制するための思想をもうひとつお伝えする。

それは、苦しみを避けるためには、あまり食べないことが何より重要だと信じること。

歳を重ねてゆくごとに、体の中に入れる物も少しづつ減らしてゆくことで、あらゆる病気を抑え、ゆえに苦しむこともないというスタンスで生きること。

これもひとつの美学だと思う。

血液の汚れが万病の元と言っているお医者さんもいるが、その血液を汚す原因の最初に挙
げられるのが「食べ過ぎ」である。

日本的美意識が肥満で悩む世界の人々を救う日がくることを、ぼくは期待する。

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