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2024ベルリン観劇記録(29)Ismene, Schwester von

3月20日、ドイツ座のKammerでオランダの劇作家の作品。そういえば今回の滞在では、ドイツ座のメイン劇場の作品を観ていない。

作 Lot Vekemans
翻訳 Eva Pieper
演出 Stephan Kimmig
舞台美術/衣装 Anne Ehrlich
ドラマトゥルギー John von Düffel
出演 Susanne Wolff

棺のような形をしている花道の上でのみ演じられた
客席の4列目くらいまで迫り出し

 

 映画でも活躍するドイツ座所属の俳優ズザンネ・ヴォルフによる一人芝居。ギリシャ神話の登場人物イスメネが墓から這い出てきて自分の家族について語る。アンティゴネの名前は決して口にしない。歴史に名を刻まないイスメネの葛藤。くたびれた中年の女という風貌。きっかり1時間。音響効果なし、照明も最小限。ズザンネ・ヴォルフの集中力と圧倒的な底力により成立している小品。芸術鑑賞会のようなもので来ている高校生たちが客席の半分を占めており、寝息も聞こえた。実際、彼らにはまだ早いと思う。もう少し派手な作品で観劇体験の面白さを教えてあげてほしい。他方で大人の観客たちは、観劇後に「すばらしかった」と口々に漏らしていた。

ドイツで観られるお芝居の本数が増えたり、資料を購入し易くなったり、作業をしに行くカフェでコーヒーをお代わりできたりします!