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【破】まほステ2章 ♔ 感想考察まとめ

舞台 魔法使いの約束 第2章  2021年11月5日〜21日

全24公演、誰一人欠けることなく無事終焉を迎える事ができました。当時書いたものや通勤途中にふっと降ってきた私なりの考察を書き留めていたのですが、忙しかったこともあり公開できておらず‥‥。

いよいよ4月23日からシリーズ最終章が始まるので、今更ですが2021年11月の魔法のひとときを綴ります。
※2章はゲームのメインスト17章3話あたりまででした。

2章のはじまり

物語は魔法舎襲撃事件が終わった直後。まずは賢者によるまほやく世界の説明と魔法使いたちの自己紹介タイムが音楽にのせて展開される。1章を観ていない人だけでなく、まほやくという物語が初見の人にも優しい説明でした。国ごとに価値観の違った人たちがいて(これがまほやくではとても重要)彼らが一つになって大いなる厄災に立ち向かわないといけないことが語られます。スネアドラムのリズムはこれから冒険に出かけるようなワクワク感を演出し、ピアノの音色は美しさと怪しさを表現する…あっという間に世界観に溶け込んでいけたのは、1章から引き続き楽曲制作を担当されている浅井さやか(One on One)さん・ 坂部 剛さんの音楽の魔法のおかげ。1章ではムルが賢者と観客をまほやくの世界へ導きましたが、2章ではユーザーの化身である賢者が音楽とともに観客を魔法の世界へ引き込みます。


原作との違い

原作に忠実か?と聞かれると、答えはNOです。アニメ化や映画化に当たって端折ったり展開が少し変わったりすることはあるあるですが、まほステの場合、気になる人は気になるだろうな、という改変から大々的に変えたなという部分まで様々でした。観ていて一番驚いたのは月蝕の館にオーエン・ミスラ以外の魔法使い全員で向かったこと。原作では西の魔法使いと賢者のみで向かって帰ってくるのですが、舞台では月蝕の館へ向かった賢者に危機が迫っていることをオズが察知し、他の魔法使いも加勢しに向かうという展開になっています。ここは原作では思いっきり西の魔法使いの見せ場なため、忠実に再現するとかなり魔法使いたちの出演時間に差ができそうなのですが、舞台オリジナル要素としてほぼ全員登場させることでクライマックスへと盛り上がりを演出できるので、個人的にはこれはこれでいいなと思いました。それまで微妙な空気だったファウストとレノックスやブラッドリーを避けていたネロ、そしてこれまでバラバラだった他の魔法使いたちも共通の目的(クックロビンを助ける/混沌とした秩序を正す)に向かって共に戦ったことで、賢者に「いつか一つになれるかもしれない」という希望を抱かせます。まあその後の展開で一気に地獄みたいな気持ちにさせられますが…(…)。


そして、2章は2幕構成で魔法使いも倍に増えたので情報量がハチャメチャ多い。まほやくは元々中盤から一気にキャラクターが増えるため致し方ないとはいえ、それぞれの関係性がとても複雑であり、まとめつつ舞台の物語に編成して演出するのは大変だったと思います。称号組は短いけどデュエットするので、称号で推しているオタクが順番に倒されていく中盤の曲は非常に面白かった。ガハハ。

でもこの情報量の多さが仇となり、YouTubeに公開される演劇最新ニュースの動画は各社イマイチだったなあ…とはちょっと思いました(小声)言ってみれば全部、いやずっと見せ場なんじゃ…?と思うくらいだったので、取材班も編集大変だったかもなんですが…。個人的にはエンタステージさんの動画が上手くまとまってたと思うので、3章を観劇する前に見てみてください!あとは海外ファン向けに作られたまとめ動画も振り返りやすいので、まあ公式がいちばん…。


【破】今後の展開について考える

2章では1章の数倍多く観客の心を揺さぶる演出があります。私はまほステは「起承転結」というより「序破急」で物語を展開させてるのでは?と考えているのですが、2章はまさに「破」静かさを破り、内容が急展開していきました。1章では(陰気な男と物騒な男以外)比較的穏やかでミュージカル調の曲が多かった印象ですが、2章では少し現代的な、POPな曲調に変わりました。特に2〜3章にかけて重要な曲になっているであろう『♩集いし者たち』の歌詞は、後半曲の『♩狂いはじめた何か』の両方で登場します。両方とも共通している歌詞として

「呪いの言葉がいつか愛の歌に変わるかもしれない」
「昨日の悪夢が希望の正夢になるかもしれない」
「味気ない日々が美味しいスープになるかもしれない」
「誰かの望みが明日世界を滅ぼすかもしれない」

この4つの歌詞があります。『♩集いし者たち』では「みんな違うけどいつかは同じ前を向けるはず」と希望を持つ賢者。しかし後半曲の『♩狂いはじめた何か』ではオーエンがニコラス魔法化学兵団長を自殺に追い込んだ疑いにより、人間・魔法使いの双方から「互いが同じ景色を見る日なんてくるはずがない」と言われてしまいます。前後の歌詞や状況が違うだけでこの4つの言葉へ感じる気持ちが希望から絶望に変わるので面白い。観てる当時は彼らの過去を思い出してしまいなかなかしんどかったけど。

『♩狂いはじめた何か』は絶望の中で曲は終わりますが、その後賢者はオーエンと話をすることを決意します。1章で「信じる」と決めた賢者は、今はみんなバラバラのピースでも、いつか同じ景色を見ることができたら、それはとても大きな意味を持つと考えるのでした。

普通に生きていると自分と価値観の合う人とばかり一緒にいるようになるし、話が合わない人は避けてしまうけど「見える景色が違うからこそ隣にいる意味がある」って歌詞にハッとさせられたし「みんな違うから前も後ろも右も左も上も下も斜めも全部見渡すことができる」って、私が知らない世界や考え方を、誰かを通して知ることができるってことで、なんて単純明快なんだろう。普段諦めてしまうことだからこそ「絆なら結ぼう、しがらみなら解きましょう」ってまっすぐ言われると心にすとんと落ちてくるんですね。

それぞれの価値観で、それぞれの矜持があって、それぞれのバックグラウンドがあるから、魔法使いと人間という2つの勢力どころか魔法使い同士でも分かり合えないことばかり。それって今生きてる私たちにも通ずるところがあるから、彼らを見ていると日常で気に入らない人に出会っても少しだけ許せるようになるんですよね。思い出したときに心が暖かくなる要素がたくさんあって、なんか…まほやくとまほステに出会えて本当に良かったなって公演を見るたび思っていました。


最後に

まほやくは、互いの違う部分を理解して寄り添ったりすれ違ったりしながら生きる人たちの物語だと私は思っています。人間であること、魔法使いであること、どこの国で生まれてどのように育ってきたか、生まれた時代も時間も違う、それぞれの信念の集まり。物語として読んでいても面白いのですが、舞台で生身の人間が演じるのを見るのもとても面白いです。私自身も日々違う感情を持ったし、キャラクターに対する考え方も広がりました。

まほやくの素敵なところを形にしてくれて、舞台ならではの日替わりを全力でやるキャストとスタッフさん(なぜ)がいて、なんて愛が詰まった作品なんだろうと毎日幸せでした。自分の好きな作品を大切にしてくれる人たちがいて本当に良かった。

いよいよ3章で集大成。今回で卒業となるキャストもいますが、今はまだ寂しさを忘れて魔法の世界を楽しみたいと思います。それでは劇場で。



国別・人間チームの感想乱文

【中央の国】オズ:北の国に来た賢者たちと別れた後のソロ曲が1章のアーサーソロのリプライズだったのに胸を抉られました。裏では円陣をマジカルビームにしたカンパニーの座長であり、板の上では世界最強の魔法使いです。アーサー:個人的にメインストで大好きなリケと世界について話すシーン、公演を重ねるにつれどんどん良くなっていって嬉しかったなぁ。今のところ純度100%のアーサーなので今後ゲームのイベストのような無邪気な姿が見れることを期待してます。カイン:殺陣や因縁のオーエンとのデュエットなど見せ場が多かったけど、私は賢者・アーサーとのパレードのシーンのカインが最高に陽キャで好きでした。ハモリも綺麗だった〜!!リケ:初舞台だそうなんだけど台詞は聞き取りやすいし、初めてのことへの戸惑いと好奇心を持つ姿がめちゃくちゃ可愛くて一気に好きになりました。これからリケの無知ゆえの危うさなども見れていけたらいいな。

【北の国】ミスラ:白衣の形もそれを着こなす鮎川さんも天才だし、モーション見てるのかと思った瞬間が多々あった…。「予測はでき〜ない〜♩」で腕をスンッ…て開くところ、長ー!!!かっこよ!最高!!!!ノーヴァとの演じ分けを見るのも楽しかったです。オーエン:目が合うとなんとも言えない恐怖を抱かせるマジヤバ魔法使いなんですが、3章では色々と…楽しみですね…。あのスーツケース重そうなのに常に持っててしかも歌って立ち回れるのすごい。ブラッドリー:待ちに待ったネロが来てくれて心なしか楽しそうだった(笑)傷の紹介やパンの日替わりなどではおもしろお兄さん(?)になってるんだけど、常にドカドカ歩いてて偉そうで好きでした。ボスだもんね!スノウ/ホワイト:いつも一緒にいるし動きがシンクロしてる時が多いんだけど、何もかも一緒ではなくて、スノウが達観している様子とかホワイトの方がちょっと子供っぽいところがあるのとか自然とそう過ごせてるのがすごい。いずれ2人がブチギレてるのを見るのが今から楽しみです。

【東の国】ファウスト:2章は東が揃ったことで更に先生みが増し、全体の歌唱力の底上げに多大なる影響を与えたで賞 受賞。3章では先生が何度眼鏡を直したか数えてみようかな。M13の過去を回想するシーン、炎を見つめる瞳がめっちゃ好きでした。ヒースクリフ:日々歌うまになっていってた気が…。普段は自信がないヒースも、2章では主人としての振る舞いを見せる場面でピリッと場が締まる空気感を出していてカッコよかった!!!!!口笛を吹きたくなりましたね〜〜。シノ:ヒースと一緒のシーンは見る度に違う良さがあって楽しかったです。模索しながらも最高にカッコいいシノを作り上げてた。M13を台詞のように歌った時があって、一度しか聴けなかったけどすごく良かったので印象に残ってます。ネロ:キッチンの王子様。台詞の無いシーンでリケやミチルを気にかけてる姿が良すぎて日常を描いたイベストやって欲しいな〜〜とn回思ってました。3章でも手料理が食べたい。

【西の国】シャイロック:月蝕の館で賢者を助けたシーン、見る度に違くて。演技が安定しないということではなくて、常に100%でシャイロックの愛と憎しみの感情に向き合った答えを見せてくれました。ムル:歌もダンスもできる汰斗くんムル。月蝕の館で出会うムル魂の欠片は原作では「自分だけの探求に浸りたい」「魂の欠片にも人権はあるのかな?」と言っていたのがまさかこんな、後の歌や展開に影響を及ぼすシーンになるとは…。3章では更にパワーアップしそうで期待が高まります。クロエ:バレエっぽい動きが多くてゲームのミニキャラで見たやつ!!!となりました。クロエが動いたらこんな感じだろうなっていうのが体現されていて見ていてワクワクしました。皆木くんは泣きそうな顔で笑う人だなって思いました。タレ目かわいい!ラスティカ:パレードの曲、後半すごい良くなっていって驚いた。まさか西がシャイロック以外でもピンク照明で行くとは思ってなかったので初見ビビりましたが。原作でもまだまだ謎の多いキャラクターなので森田くんも難しかったんじゃないかと思うのですが、3章では重要なシーンが待っているので今から楽しみです。

【南の国】フィガロ:あの穏やかな表情の中に隠れてる北の魔法使いの威厳をチラッと出してくるのがサイコ〜〜〜でした。多分元々近い声質な気がするんですけどcv.森川さんすぎて公演期間中狂いかけました。3章は秘密がまた一つ明らかになるので和合さんがどんなフィガロを見せてくれるか楽しみにしています。ルチル:『♩祝福の言葉』で魔法を使っているシーンの魔法具の扱い方がすごく好きでした。ルチルは基本的に優しい人物ですが、譲れないもののために勇気を持って立ち向かえる強さがあるので、3章ではミスラとのやりとりがどうなっていくか期待しています。ミチル:自己紹介からミチルが2.5次元にいる…!と思いました。呪文噛まなくてえらい。フィガロ先生〜!って駆け抜けてくるところやパーティーでお酒を持っていないかチェックしていたり、ちょっとした仕草が魔法舎での日常で、見ていて思わず微笑んでしまいました。膝小僧かわいい。レノックス:ファウスト様への感情が激重たくて最高でした(褒め!)!!!レノックスの感情って一言では表せないので視線や行動でめちゃくちゃ表現されてるなって思いました。ファウストがいるときはほぼファウスト見てる。「あなたは俺が守ります…」て賢者は蚊帳の外ですがそれで良いんです…This is Lennox…

【人間チーム】魔法使い21人 対 人間チーム5人(+POWers)と圧倒的差があるのに全然負けてないのがすごい。賢者役の新くんは前回より更にパワーアップしていて、信じてついていきたくなるような表情をすることが多くなったように思いました。最後になる3章では更に成長した姿を見せてくれるはず。クックロビンとドラモンドはまほステの癒し担当。上司と部下の関係ですが、まほステでは本当に絆が芽生えているのが見えて素敵です。ヴィンセントとニコラスは2章では憎たらしく感じるシーンが多いです。マナ石は魔法使いが死んだときにできる石であり、魔法化学はそれを燃料にしているというのに「我々にはこの機械があるから魔法使いなど必要ない」と言う愚かさ、めちゃくちゃ人間だなって思います。3章ではどんな風に人間側が描かれるのかも楽しみです。


そして、マドレーヌとパンの日替わりを手伝ってくれたスタッフさんへ、𝐁𝐈𝐆 𝐋𝐎𝐕𝐄_____


fin.





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