最大酸素摂取量とは

大学院の課題(授業内容をミニレビューでまとめる)をnoteにしました。VO2maxに関してまとめました。

【課題文献】:Menz V, Marterer N, Amin SB, Faulhaber M, Hansen AB, Lawley JS. Functional Vs. Running Low-Volume High-Intensity Interval Training: Effects on VO2max and Muscular Endurance. J Sports Sci Med. 2019 Aug 1;18(3):497-504. PMID: 31427872; PMCID: PMC6683610.

1. 最大酸素摂取量(VO2max)について

VO2maxは生理学的に「ある運動時の酸素摂取量(VO2)の最大値」であり、それは「VO2がより高値を示すような全身運動時のVO2」と定義が可能である。

実際にVO2maxの測定は非現実的であり、理由は、全身の筋を総動員するような全身運動が難しいからである。

また、VO2maxは方法論的に「VO2がプラトーになったところ」と大まかに定義できるが、「最大心拍数に近づいた時のVO2、呼吸商が1以上の時のVO2、血中乳酸濃度が10mmol以上の時のVO2、主観的運動強度が10又は20以上の時のVO2」という指標のうち、2つ以上当てはまる時のVO2と定義することも出来る。

VO2maxの測定方法には、エルゴメーターやトレッドミルを利用した呼気ガス分析があげられる。

また、直接測定するだけではなく、特定の運動時の心拍数や総仕事量を予測式に挿入して推定する方法もある。

【課題文献】では、トレッドミルを利用した呼気ガス分析でVO2maxを測定していた。

トレッドミルとエルゴメーターの方法論の違いにより、運動様式やそれに伴って動員する筋が異なるため、個人のVO2maxは異なる。

また、個人の競技歴やトレーニング歴により、VO2maxも大きな違いが生じるため、予測式を利用した方法も活用時に注意が必要である。

2. VO2maxとトレーニング

VO2maxは、1回拍出量と心拍数から成る心拍出量と動静脈酸素較差によって決定され、心拍出量は中枢、動静脈酸素較差は末梢のそれぞれ指標である。

筋収縮により体は動くが、筋収縮にはエネルギー(単位:J)、ATPが必要である。

体内に貯蔵できるATPには限度があるため、主に酸素を用いて再合成する。

摂取された酸素はエネルギーであるATPに変換されることと、運動は物理量の仕事量(単位:J)で表すことが可能であることから、VO2と仕事量は置き換えることが可能である。

つまり、全てのスポーツではないが、VO2maxとスポーツパフォーマンスの関連がある。

VO2maxの増大には、心拍出量と動静脈酸素較差に働きかけるような運動を行う必要がある。

40-60%VO2maxが中強度、60%VO2max以上が高強度と言われているが、高強度の方が効果が高い。(課された負荷に適応するのが人体である。)

Long Slow Distance:LSDトレーニングは、VO2maxの向上はほとんど認められないと言われている。

また、持久系トレーニングにより循環血液量が増加することもVO2maxの増大に寄与する。

VO2max以外にスポーツパフォーマンスに関連する指標として、乳酸性作業閾値とランニングエコノミー(ml/kg/m)があげられる。

乳酸性作業閾値は、血中乳酸濃度が急激に上昇し始める運動強度を表す。

ランニングエコノミーは、一定速度での走行する際の単位体重あたりのVO2であり、より少ないVO2で走ることが可能である。

以上。


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p.s.

「最大」の定義とは。「限界を超えた先に新たな限界がある」という言葉があるように、「最大」はないのでは。「最大酸素摂取量」は「最大」ではない。

「最大」や「最低」といった「限度」はないのでは。

これは人生が面白くなりそうだ。

(最近、「定義づけ」ばかり気になります。「変人」ですね。)

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