12/20 人の手書き文字が好き

■まだ手書き文字の話を続ける。
わたしが旦那さんの手書き文字を知らないのと同じように、きっと、旦那さんもわたしの手書き文字をあまり知らないのではないだろうか、と思った。
仕事を辞めてから、ボールペンやシャープペンシルを握る機会がめっきりなくなった。役所系書類の個人情報記入くらいだ。あと図書館の予約カード。あ、ちょいちょいと手帳を書いてるか。
■文章やメモを書くことは滅多になくなったけれど、筆文字の筆記体でのレタリングがかっこいいなぁと思って、筆ペンで落書きを楽しんでいる。『旦那さんがカフェをはじめた』という設定で、苗字+coffeeとか苗字+cafeをいろんな角度の筆記体で書いてみて、その日一番気に入った文字のまわりに、マグカップなんかのイラストをカフェ看板風に描きこむ、という遊びをしている。
英語を書くのに飽きてくると、居酒屋メニューみたいなのを書いてみる。居酒屋の『本日のお品書き』風を狙って書く。なんとなくだけれどもそれっぽく仕上がるので楽しい。自己満足。
それにも飽きると、テーブルにいるガンプラのズゴックさんやらガンダムさんの模写をはじめるのだけれど、どうにもうまく描けない。うまく描けないけれど、筆ペンでちょっとふざけた味がでているような気がして、完成したものを帰宅した旦那さんにお披露目して、無理やり褒めてもらう。

■きれいな字に憧れるけれど、人の書く個性的な字も好きだ。いっしょに過ごしてきた人たちの書く字を、その人とセットで覚えている。人と字の間にギャップがあればあるほど、「かわいい!」「すごい!」とときめいてしまう。いつも冷静で感情がフラットで仕事ができる『頼れるおねえさま』みたいな上司の書く字が、硬筆のテキストみたいな字を書きそうなイメージなのに、罫線の幅に対して小さめで、文字間も広めにスペースが空いているかわいらしい文字だったり。高校時代のクラスメイトで、どんな状況でも物怖じしない元気キャラの友達が、のびのびとして勢いのある、マス目いっぱい使う大きくてきれいな文字を書いていたり。
■小さな手紙やら仕事のメモやら、人からもらった手書きの紙もので、なんとなく捨てられずに大切にとってあるコレクションがある。内容だけ見たら「なんでこれを保管しているんだか……」と思うようなものもある。さっき、そのファイルを開けたら、一番上にあったのが仕事でミスをしたときに上司が机に貼っていたメモで「明日、激おこぷんぷん丸がきます! 覚悟しておくように!」と書いてあった。内容はものすごく叱られそうで怖いのだけれど、文章も文字も全然怖くなくて、むしろふざけてて笑ってしまった。翌日しっかり叱られたことまで含めて楽しい思い出としてよみがえった。人の手書き文字は、思い出のスイッチだ。

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