1/6 たまには黙っていてもいいんだよ?

 他の人はどうなのか知らないけれど、わたしは、起きている間でひとりの時間はずっと、頭の中で延々とひとりごとを言っている。ひとりごとを言っているというか、自分の中にいる小さな自分が外側のわたしに向かってぼやいている、みたいなかんじだ(例外もある。本を読むとか音楽を聴くとか、外のものを自分の中に取り入れようとしているときは、静かなことも多い)。ぼやきの内容は、目に映った文字(看板のキャッチコピーとか)をそのまま読んだり、どうでもいい思いつき(「カツレツのレツってなんだろう」「そもそもカツもなんなのさ?」とか)だったりするのだけれど、多いのは、「さむーい」「つらーい」「ねむい」「おなかすいた」等々、不安や不満、不快を訴える内容で、そんな小さな自分のネガティブ成分多めなぼやきに四六時中晒されているから自分はこんなに不安がりだし慎重派だし緊張しいだし内向きなんじゃないか、と思っている。ぼやきの内容が、もう少し前向きになってきたら、性格も変わる気がする。

 で。今日は、歯医者とヘアサロンをはしごしてきた。歯医者の治療台で横になって歯をがりごり削られ、ヘアサロンのシャンプー台で横になってシャンプーとマッサージをしてもらって。気がついた。今日のこの2つの最中、頭の中の自分があまりネガティブなことをぼやかない。歯医者のときは、意識が自分の口の中にいっている。「唾が溜まってきた……」「あっ、なんか今電気が走った」「麻酔の変な味する」等々。何か起きたときに実況中継が入るくらいで、あとは黙って状況を見守っているかんじ。ヘアサロンでは、シャンプーされているときは、耳元でシャンプーの小さな泡が弾ける音を聴いたり、今日のその後の予定の段取りを感情抜きに坦々と考えていた。マッサージされているときはただただ無になって気持ちよさに身を任せられた気がする。

 いつも、頭の中が気がついたらずっとしゃべっているので、本や音楽に夢中になる以外にも頭の中が少し静かになる瞬間があるというのは、結構な大発見をした気分だ。ただ、共通点が「横になって」「人に触られている」とき。ひとりでは実行できそうにないのが難点。自分ひとりで横になったら、延々とぼやいているもんなぁ。夜、寝つきが悪いのはぼやき癖のせいも大きい。

 多分、自分の中の小さな自分のぼやき癖に疲れている。たまにでいいから、少し黙っていてくれないかなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?