7/25 嫌なことから遠ざかる

 昔の上司が、『世間』や『嫌なこと』を自分から徹底して遠ざける人だった。

 「世の中は、知らなくてもよいことばかり」と、テレビを持っていなかった。天気予報や大きなニュースは、ラジオで事足りる、と言っていた。

 暗い夜道を歩いて帰っていて、『暗くて怖いね、おばけでそうだね』という話をしていたら、その上司は、急にきっぱりと「暗がりなんて全然怖くない。一番怖いのは人間です」と宣言して、まわりを困惑させた。実際、つきあいの飲み会やら顔合わせの会議などは極力避けていて、人とつきあうことは最小限にしていた印象がある。

 職場で、クレーマー(というか、絡み屋?)から名指しで呼び出されているにもかかわらず「今日はもう帰ったって言って!」と部下に対応を押し付けて、本当に帰ってしまったこともある(まぁ勤務時間終了後の出来事だけれども)。

 そんな、ちょっと浮世離れした、というか、……少し変わった人だった。箱入り娘のお嬢様感が漂う、いつもちょっと困ったような笑みを浮かべている人だった。その上司のことが、ここ数日心に浮かぶ。

 その上司について、職場の責任者としての態度や対応には、今思い出してもどうかと思う部分がたくさんあるのだけれど。

 自分をなるべく安全で快適な環境に置く、というか、自分を脅かしたり疲れさせたり嫌な気持ちになったりしそうなもの・こと・情報から徹底的に自分を遠ざける、という行動指針は、全部ではないにせよ、見習うべきところもある、なぁ、と。……最近、テレビやらネットニュースやらを見て、自らHPゲージもMPゲージもごりごり削っている自分を反省して、そんなふうに思った。

 見て、感情移入したり、自分の経験に引き寄せて考えたり、そんなことをしているうちに自分のしんどいときの気持ちを思い出して落ちていったりしているけれど、それ、全部、やらなくてもいいことだ。わたしが家の中でひとりしんどくなったところで、世界がよい方向にかわるわけでもなし。

 ……とは思うのだけれど。じゃあニュースもタイムラインも見ないようにするかというと、それもなんだかちょっと違うな、と。世間の関心ごとに対して無関心な自分になりたいわけではなくて。

 あと、どうせ触れるなら1次情報、っていうのもある。わかりやすくまとめ直された2次情報も、概要をざっくりつかむには便利だったりするけれど、できれば世にあらわされたそのままの形の1次情報を自分の中に落として考えたい。

 結局、メンタルを過度にやられず、ほしい情報は得られる、上手な距離の取り方、っていうところに落ち着くのかしら。

 ……なんだかなぁ。毎日山ちゃんと蒼井優の結婚会見やってればいいのに。

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