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今日読んだ論文(生物)

こんにちは。自分がどれくらい論文を読んでいるのか記録したかったので簡単にその日読んだ物をまとめます。

今日読んだのは「Functional diversity and trade-offs in divergent antipredator morphologies in herbivorous insects」です。

生物の防御形質には①primary defense mechanism(警告色や擬態)と②secondary defense mechanism(化学的もしくは物理的な防御)の二種類があります。①は捕食者との遭遇率を低下させ、②は捕食者に遭遇した時に生き残れるように機能するものです。

この論文では被食者としてトゲハムシ(背中にトゲがある)とイカリヒメジンガサハムシ(羽と頭のクチクラが異常に肥大している)を用いてこの特徴的な防御形質が①と②のどちらに働くのかを調べている。

捕食者には被食者の生息地で共存しているアサシンバグこと、サシガメ(口針で餌を刺す)、アマガエル(餌を飲み込む)、カニグモ(餌に噛みつく)を用い、被食者には特徴的な形質を外科的に取り除いた個体とそのままの個体を使ってそれぞれの捕食者に対する攻撃率を計測し、さらにどのくらいの時間で全ての個体が攻撃を受けるか、被食者の防御成功率を算出した。

その結果、トゲハムシのトゲはアマガエルに対してのみ機能していることがわかった。これは飲み込む際にトゲが邪魔になってしまうことに起因する。またこの形質は①としては機能しないことがわかった。一方、イカリヒメジンガサハムシの形質はサシガメとカニグモに対して効果的であることがわかり、いくらかではあるがカエルに対しても効果があることがわかった。そしてこの形質は①とも②とも取れるような結果でした。

ここで著者らはハムシに見られるこれらの形質は①と②の間でトレードオフの関係にあるとのことで形質が①によっていれば②の機能が低下し、②によっていれば①が低下するというようにシーソーの関係になっています。ハムシではこうした形質が種によって①によったり②によったりその中間であったりと様々な形質が現れるそうです。

まとまりがなくなっていますが結論つけると捕食環境の多様性と機能のトレードオフが防御形態の多様化に寄与しているとのことです。気になった方は是非読んでみてください。

生物って絶妙なバランスで様々な環境に適応しているんだな〜

参考文献:Functional diversity and trade-offs in divergent antipredator morphologies in herbivorous insects 2020 Tadashi Shinohara Yasuoki Takami DOI: 10.1002/ece3.6262


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