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文章の奥には人がいる

文学フリマに初めて行った。

文学フリマは、作り手が「自らが〈文学〉と信じるもの」を自らの手で作品を販売する、文学作品展示即売会です。

小説・短歌・俳句・詩・評論・エッセイ・ZINEなど、さまざまなジャンルの文学が集まります。
同人誌・商業誌、プロ・アマチュア、営利・非営利を問わず、個人・団体・会社等も問わず、文芸サークル、短歌会、句会、同人なども出店しています。参加者の年代は10代〜90代まで様々です。

現在、九州〜北海道までの全国8箇所で、年合計9回開催しています。

文学フリマ 公式サイト


普段本屋はよく行くけれど、こういった展示即時販売会は初めての経験だ。
あまり多くの人が集まる場所が苦手というのもあるけれど、売り手とのコミュニケーションを想像すると、ちょっと二の足を踏んでしまうというのが1番の理由かもしれない。元来、僕は人見知りなのである。服屋さんとかで店員さんと話すのもあまり得意ではない。

それでも今回足を運んだのは、知っている人がいたというのが大きい。
大学からの友人と、職場で関わっている若者がそれぞれ寄稿者、出展者として参加していたのだ。知人の活躍はできる限り近いところで応援したい。

それともうひとつ。いつもnoteで記事を読んでいるあかしゆかさんが出展されていたことも、今回行ってみようと思った理由の一つだ。

僕がnoteで文章を時々書くようになったきっかけがいくつかあって、そのひとつがあかしさんの書く文章だった。日常を捉える視点や、そこから綴られる言葉の選び方がとても素敵で、自分もこんな風に日々の生活から得られる実感を書き残したいと思った。

すごく触発された記事。ちょうど読んだタイミングがうつ病の治療中で、出来ないことがどうしても増えてしまった時だったので、希望をもらえたような気がした。

「会ってみたい人には会いに行かないと会えない」が最近の信条なので、とにかく行ってみることにした。

実際にお会いしたあかしさんは、文章から思い描いていた通りの雰囲気を纏った方だった。こういう時に限って人見知りを発揮してしまい、推しを目の前にしたファンのように内心しどろもどろになってしまったのが少し悔やまれるけれど、直接お話しできたのはとても嬉しかった。

あかしさんの本。
岡山で営んでいる「aru」というお店のことが綴られている。
表紙の模様はその場で自分でスポンジスタンプで押したもの。自分だけの一冊という感じでとても素敵。

普段文章からしか知ることのできない人が、目の前にいるというのは不思議な感覚だった。音楽で言うとライブが近いけれど、演者と観客の距離がある。今回は書き手と買い手という立場こそあれ、対話可能な距離感。作品を作った人から直接買えて、言葉も交わせるというのは貴重なことだと思う。

当然のことだけど、文章のその奥には人がいるのだと改めて感じることができた。その人の生活や、そこに至るまでの積み重ね、そのひとつひとつが文字になって表れているのだろうな。

神は細部に宿るというけれど、人は端っこに宿ると思った。自分の内側をどんなに覗いてもそこに自分はいなくて、その代わりに、姿勢に、表情に、輪郭に、声に、話し方に、歩き方にその人が表れる。文章はその最たるものの一つだと思う。生きてきた背景が、経験が語彙となって、人となりが言葉選びに表れる。
僕らは普段から、文章を通じて人と向き合っているんあだなぁ。

総じて、文学フリマとても楽しかった!

入場待ちの段階で、想像していた以上の人が列を作っていて、それだけこのイベントを楽しみにしている人がいるんだと感じられて期待が高まったし、実際会場入りしてみると作品という形を成した情熱がそこかしこで時にギラギラと、時に静かに熱を放っていて、とても良い刺激になった。

目当ての作品を買えたらそれで良いかなと思っていたけど、実際回ってみると面白そうな作品ばかりで、悩みに悩みながら念の為と決めていた予算ギリギリまで買ってしまった。友人と少し一緒に回って、同じ作品を買うなどもした。
これから一冊一冊読んでいくのが楽しみ。

購入した作品たち
お笑い評論のインパクトよ

そしてちょうどこの文章を書いている今、出展していた若者から完売したという知らせが届いた。すごい!
次は一緒に出たいね、と言われてしまったので次回12月の文フリに申し込みをする予定。完全に見切り発車だけど、不安よりは楽しみの方が大きい。

どんな作品を作ろうかなぁ。

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