1/18 HIV勉強会

こんにちわ、TMDU統合感染症学分野です。

木曜日はイベントがてんこもりでしたので、日にちをずらして投稿しています。この日はHIV勉強会の10回目でした。
HIVと癌について、疫学やスクリーニングの観点から勉強しました。

従来、AIDS defning cancerと呼ばれていたKaposi肉腫やPELなどがARTの導入によって減少し、現在はnon-AIDS defning cancerであるそれ以外の癌が増えてきています。
米国の報告ではありますが、HIV感染者のほうが多くの癌(白血病、肺癌、頭頚部癌、肝臓がん、口腔咽頭癌、肛門癌など)の発生率が高いものの、高齢者における結腸癌や42歳以上の乳がん、50歳以上の前立腺癌はHIV非感染者のほうが発生者が高かったとのことでした。
やはりウイルスとの共感染(HPV:子宮頸癌、肛門癌など。EBV:非ホジキンリンパ腫、ホジキン病。HBV・HCV:肝臓癌。HHV-8:PEL、Kaposi肉腫、Castleman病)がリスクとなっていることや、喫煙や飲酒、HIV感染による影響などが発癌に影響しているとのことでした。

これらの内容はIAS-USAが詳しく記載しています。

https://www.iasusa.org/wp-content/uploads/2008/10/16-4-117.pdf
https://www.iasusa.org/wp-content/uploads/2014/06/22-3-660.pdf
https://www.iasusa.org/wp-content/uploads/2023/06/31-4-sarkar.pdf

各論的なところでは、HPVの記載はclinical info HIV.govが詳しく記載しています。

肛門癌のスクリーニングでは団体によって主張が分かれており、
・pap testを毎年推奨する(IAS-USA)
・検査可能であれば実施する(IDSA)
・ルーチンのスクリーニングは推奨しない(clinical info HIV.gov)
など、特色が分かれている点も特徴的だと思いました。

皮膚癌対策で、IAS-USAからは日光の過剰な曝露を避ける等記載があることも面白い点でした。

フロアからは、HIV感染者に特有の対応としてHPVの対応や、肛門癌のスクリーニングがあることを理解しておく上で、非感染者にも推奨されるスクリーニング(胃癌や大腸癌、肺癌など)も忘れないようにしたいね、というコメントがありました。


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