その冬のいちばん寒い頃に
留年した上に単位が足りず追試を受け、ろくに就職活動もせずに大学を出て、新卒で入社したのが大阪のアパレルだった。
採用面接はふたりひと組だった。「円高ドル安とは何かを説明してください」という質問が面接官から出て、隣の背の高い志望者はバレーばかりしていたので分かりません、と答えたのでこれは楽勝だなと思っていたら入社式にはそいつもいた。
為替がなにか答えられないやつも学校にまともに行っていないやつもまとめて採るような会社だったが、勤め人生活はわるくはなかった。
山陰の自社工場を見