見出し画像

いい写真は誰でも撮れることを教わった

5月6日、ゴールデンウィークも残すところあと2日という早朝、
東京行きの飛行機を待っていた。

飛行機を見るとテンションが上がる

写真家・幡野広志さんのワークショップに参加するためだ。
プライベートのひとり旅はすごく久しぶりで、
幡野さんから直接写真についてレクチャーを受けられるとあって、
参加のチケットを手に入れてからずっとわくわくしていた。

東京へ行くことを勧めてくれたのは妻だった。
うちには猫がいて二人暮らしだから、
夫婦で泊まりがけの旅行に出かけることはない。

僕とおなじく幡野さんの写真と言葉がとても好きな妻は、
またとない機会だからと背中を押してくれたのだ。

2匹いる猫の世話を妻にお願いして、
週末の料理当番も免除してもらい、無事飛行機は離陸した。

飛行機初めてか?っていうくらい撮ってた

飛行機に乗れば羽田まで1時間ちょっと。
都内はそこから1時間で大抵どこへでも行ける。
僕の住む徳島から東京は、高速で約3時間かかる大阪よりも
旅行時間的にはじつは近い。
財布的にはちょっぴり遠いけど。

浅草の会場につくと、佇まいの素敵な女性が名札を抱えていて笑顔で出迎えてくれてた。
主催者であるアンドレシピの小池さんだということがひと目でわかった。
笑顔いっぱいの小池さんにお会いして、僕の緊張や気負いはうまくほぐれてくれた。

今回の開催場所となった梅と星というお店は
美味しい梅干しと羽釜で炊いたごはんが売りの料理屋さんで、
お昼ごはんにはこちらの料理が出るという。
どんなご飯なんだろう。すごく楽しみだ。

二階へと上がるとすでに幡野さんが会場にいて、
少しお話することができた。
幡野さんはたとえ短いやり取りでも、
こちらの言うことをソフトに受け止めて、
自分の話にしたりせずにきちんと返してくれる。

自分が教える立場なのに、そんな人はなかなかいない。
ていねいに話を聞いてもらえるという安心感があるから、
会いに行きたいと思う人が多いんだと思う。
このワークショップのチケットは、
比喩じゃなくて2分でソールドする。

1時間の撮影タイム開始
NINJAファンが模造刀を買って帰るって話は聞いたことあるけど、同じノリなんだろか?
「鳴門鯛」の文字につられてひとつ買った
曇りの予報だったけど、晴れてよかった。お祭りに来た気分。

ワークショップの内容をここで話すことはしないけど、
幡野さんのお話はいつもと同じく明瞭で優しい。
写真についての本を出版されるとお聞きしているので、
おそらくこの講座の内容がかなり反映されるんじゃないかな。知らんけど。
写真を撮ること、カメラを構えることに対する壁を、
ひとつずつ丁寧に取り除いてくれる話だった。

羽釜ごはんのおにぎりが最高に美味しい

梅と星さんのお弁当が美味しくて、
おかわりのおにぎりもいただいた。
ときどき仕事で東京出張があるので、その時にまた来よう。
来たいなと思うお店がまたひとつ増えたな。

おわってから東京にいる友達の家に遊びに行き、
ホテルに帰って朝、空港に向かうあいだ、
写真のことと、もうひとつの趣味である音楽のことを考えていた。
音楽は写真と似たところがある。

ギターのメーカーやグレードにやたら詳しくてこだわる人や、
そんなにうまい演奏ではないが、すごく心地よいステージをする人がいる。
音楽が生活を豊かに彩ってくれ、
生活の豊かさがまた音楽にあらわれるところなんて、
写真と生活との関係にそっくりだ。

演奏するステージには自分自身が出る。
それはもういやになるくらい出てしまう。
写真もきっとおなじだろう。
写真には撮っている僕自身が写っているということが、
ちょっと判りかけてきた。

だからこれからも目の前のことに、
出会う人や物事にできるだけ真摯に向き合いたい。
そんなことを思った旅だった。

雨でも見送ってくれる職員の方々には頭が下がる

早めに空港に着いて、ささっと保安検査を済ませた。
外の土産物売り場には興味がないし、人混みも苦手だから、
なるべく静かな場所を探してゆっくりコーヒーを飲んだ。

若い頃は待つことが苦手で、とにかくスケジュールを詰め込んでいたけど、
歳を重ねてこうした余白の時間も好きになった。
好きも年と共にうつろっていく。

写真にも余白があるといいなと思うようになった。
被写体との距離感、自分を見つめる余裕は、余白となって写真に現れる。
帰ったら妻に学んだことを聞いてもらって、ゆっくり現像しよう。

ゴールデンウィークラストの土曜日、
貴重な時間をさいて写真について真摯に教えてくださった
幡野さんには本当に感謝しています。
素晴らしい時間と食事を提供してくださった
アンドレシピさんと梅と星の皆さまにもお礼を申し上げます。
ありがとうございます。

そして今回の旅を勧めてくれた妻には、ほんとうに感謝しています。
あと留守番の猫たちにも。ほんとにありがとう。

これからも写真を撮って、家族との時間を楽しみます。


後日ワークショップに参加した時のことをツイートすると、
幡野さんからRTしていただいた。

ワークショップで、そしていろんなところで、ずっとおっしゃっていることだった。
すこしずつ自分の身になっている気がします。ありがとうございます。

またどこかで。
それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?