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あったかほっこり、一期一会@北海道の雪深い田舎

目覚めて、時計を見て、一瞬のうちに頭をぐるぐるっとさせた。ん?ちょっと待てよ。私がこの特急列車を降りるのって午後2時ぐらいじゃなかったっけ。今、3時。そうか、私寝過ごした。乗り過ごした。どんだけ寝たんだ?どこだ?ここは。天塩中川ってどこ?

北海道にひとりで来た。前日多分疲れからくる腹痛と微熱があった。飛行機やら宿泊先やらのチケットを取っていたので、なんとか一晩で寝て治して来たものの、まだ完治していなかったのか。私は体調不良になると睡魔が超巨大化する。普段寝過ごすなんてこと、ほとんどないのによりによって北海道の田舎でやってしまった。

すぐに戻りの電車を検索したが、ここは道北の雪深い田舎。3時間後に最終の1本しかない。しょうがないから、とりあえず次の駅である天塩中川で降りて3時間待つ以外ない。

とりあえず、次の駅である天塩という駅で降りた。目の前になんだかあたたかな光が漏れるお店のような場所があった。そこは、お店ではなく催事っぽい感じだった。そこにいたおばちゃんに聞くと、月に1回のフリーマーケットとアロマのもみほぐしを開催しているらしい。どおりでアロマの香りが漂っている。たまたま私が寝過ごしたその日が、月に1度の日だった。なんというミラクル。

せっかくだからもみほぐしを受けたい気分だったのだけれど、残念ながらその日は予約でいっぱいだった。フリーマーケットの品物をゆっくり見て回る。

誰かが2回か3回ほど着ただけのニット300円、小説0円、新品の靴下50円。それから、手作りのコースターやみつろうの蝋燭なども。どれも破格だった。中には、肩パッドが入ったような時代を感じさせるようなものもあった。

本当は手作りのドライフラワーを買って帰りたかった。200円ほどで小さな花束が買える。そんなことある?けれど私は旅の道中。ドライフラワーを買って帰ったら、家に着く頃にはバリバリに砕けてしまっているに違いなかった。

「これどうぞ、クロモジ茶っていうの」
とおばちゃんが差し出してくれた。フリーマーケットを訪れた人、みんなに出しているらしい。クロモジって、爪楊枝のこと?と思ったが、クロモジという木の枝から出るお茶だと説明していただいた。高級な楊枝にも使われることから、爪楊枝のことを改まった場ではクロモジとも呼ぶみたいだった。クロモジの木は、そのままお風呂に入れてもいい湯だとか。ほっこり、美味しかった。

店内をくるくる2周ぐらいして、私が手に入れたのは、
・グレーにピンクのラインが入ったvansのスニーカー200円
・手作り黒の小花柄のポーチ50円
・グレーの長袖Tシャツ(スニーカーと合わせるとベストマッチ)400円
3点で計650円、安い!

ここまでで1時間半ほど。まだあと1時間半は待ち時間があるということで、フリーマーケットの端っこで本を読みながら待つことにした。窓の外はしんしんと雪が降り積もっていた。お客さんはおばちゃんと顔馴染みの方がほとんどなようで、すごくアットホームな雰囲気。チェロの無伴奏のCDが絶えず流れていた。

お客さんが途切れると、
「夕飯は宿についてからなんだよね、こんなものしかないけれど」
とおばちゃんが言って、みかんを2つくれた。甘くて酸っぱくて小腹に嬉しい。

「あと、これは私と半分こ」
と言って、ランチパックが1枚だけ入ったいちごジャム味とチョコレートをそれぞれくれた。3割引シールが貼ってあった。甘いものは苦手だけど、気持ちが嬉しくて頂いた。

ぼーっと本を読んでいるといつのまにか時間がたっていった。
「あと10分ほどでくるよ」
とおばちゃんが教えてくれた。何から何までありがとう。

電車で寝過ごしたことがわかった時は、最悪だ〜と思い冷や汗がいっぱい出た。けれど、ここのおばちゃんに出会えたから、こんな経験ができたから、まあこれもこれで良かったかなと思えた。

北海道、今日も朝はマイナス13度ですっごく寒い。

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