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したくはないけど、絶望のある人生って意味があると思うよ。

書店員の時に、彼が企画した文庫Xが出て、凡人頭である私は、
その後の企画に大層苦労した思い出がある。
正直とんでもない企画をやっちゃってくれたと思いましたね。
だってね、当然店長はじめ上司は言うんですよ。ああいう画期的な企画を考えろって。わかっとるがな!と思いながらない頭を振って考えたものだった。

私は彼の定義するタイプAの人間だ。
だから一読目は全く理解が出来なかった。
終始、うーん、いやー、そうじゃなくてー。が浮かび続けた。
彼自身もあとがきで書いているように、矛盾と同一テーマの言及がたくさんあって読みづらかった。
でも、

本ではなくて彼個人の頭の中のライブ中継。だと考えたら?

と思い付いてもう一度読んだら、読みづらさや繰り返される言及は、

まだ彼は結論が出ていないのではないか。
まだタイプA側の人間になることを諦めきれないのではないか。
だからこういう書き方になっているのではないか。
その思いが、タイトルの「絶望」という言葉になっているんじゃないか。


そういう風に思えた。
だったら合点がいく。

また、私は今でこそタイプAだが、実は元タイプBだったことを思い出した。
そして、その間にタイトルに「絶望」がついた本を読んでは、
彼と同じようにぐるぐると考えていたんだった。絶望って、最中はもうやめてくれって思うんだけど、終わってみるとやってよかったかもしれんな、と思う不思議なもの。だからってそんなに頻繁に絶望するのはお断りだが、頑張って生きている人にしか来ないから、絶望する人生には意味があると思う。


絶望した時にしか読まない本というのをこっそり持っている。この本もそこにそっと加えておこうと思う。


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