見出し画像

経験上、これが最も成長する。



平成最後の夏に『マエボン』という雑誌を作った。

パッと見、なんの雑誌なのか1ミリもわからないし、買うヒントがあまりにも少なすぎてウケる。買った人は本当にどうかしてる。(いい意味で)

画像1

ナマケモノより怠け者の僕が、ひとりで作れるはずがない。この雑誌は「前田デザイン室」で出版した。バーコードも自分で申請したんやで!

前田デザイン室は、どう考えてもデザイン会社っぽい名前だが、実は会社ではなく月額5,500円の有料のオンラインコミュニティです。「仕事とはできないクリエイティブを。」をモットーに幼稚園児が無邪気に絵を描いているように楽しくウェイウェイやってます。

楽しいことが好きで、ひたすら交流を楽しんでいる人もいるし、未体験のクリエイティブにチャレンジし、仕事に役立てている人も多い。ほんとにいろんなことをやってます。(前田デザイン室のプロジェクトの一部↓)

画像2


「前田デザイン室の本」、略して『マエボン』。この非常に複雑に計算し尽くされたネーミングは見事ではないか?この『マエボン』は『宇宙兄弟』の編集者・佐渡島庸平氏が「素人出版革命」と言った。この雑誌がネットや書店で予想以上に奇妙な盛り上がりを見せたことにより、もっとオンラインコミュニティで出版するところが増えるんじゃないか?と予想していた。

でも、ちょっとがっかりなんだけど、あんまり出版されなかったね。まぁ、仕事でもないのに、ここまでバカなことを一生懸命やりきるところが、前田デザイン室以外に存在しないのだろう。「前田デザイン室、何やってんの?」が僕らにとって1番の誉め言葉。

画像3

画像4


「これは、かなり内輪の本では?」

ある有名書店オーナーさんから、グサッとなる指摘が入った。小心者の僕はビクッ!としたがすぐに落ち着きを取り戻した。ふぅ…。もともとは前田デザイン室みんなのクリエイターの名刺がわりに作った本。だから、これでいいのだ。これがいいのだ!マエボンだけにバカボンなのだ。


作るほうが、読むより力になる。


時間がない。とにかく作ることに集中せざるをえない状況だった。企画1ヶ月、制作1ヶ月、入稿まで2ヶ月。さらに雑誌制作、未経験者9割。

編集長の浜田綾さんとはスタート時は何度も険悪になったが、彼女自身が覚醒して通常の雑誌制作の編集長以上に編集長を異常にやりとげた。(ラップっぽい)「編集長は浜田さんですよね?僕が決めて良いの?」最初はこんな調子だったけど、気づいたらスーパーハマダさん3になっていた。何が変わったかというと「責任」を持ったからだ。「綾さん、いつ寝てるんですか?」そういう声もちらほら聞こえてきた。

画像6

その異常さが他の参加メンバー人の熱量に火をつけたのだと思っている。デザイナー、カメラマン、ライター、みんなが「平成最後の夏」を雑誌作りにつぶした。

画像8

『マエボン』を作ると僕が言い出したとき、メンバーから猛反対された。「いくらなんでも過酷すぎます!」と。

まぁ、そりゃそうなるでしょう。わかります。ただ、仕事じゃないから。僕は「こう考えている」と丁寧に伝え、振り切った。

僕ら「前田デザイン室」はデザイン会社っぽいネーミングだが、仕事ではない。仕事と同じことするなら会社にするよ。出版社にできないこと、やらないことを無邪気に純粋にやれるからいいんじゃない。

画像9

具体的にいうと、『マエボン』は「売らなくていい雑誌」なんだ。だから、100%「こうしたい」ベースで紙面が作られていく。そんな状況が仕事とは真逆にいくということ。

もうひとつは、失敗してもいい。会社で失敗するの嫌でしょ?ボーナスにも影響するよね。前田デザイン室は家、仕事の次のサードプレイス。いくらでも失敗して下さい。失敗して笑おう。失敗するから力になる。(ただ、一生懸命やっての失敗にしか価値がないからそこんところ、よろしくベイベー)

画像10


仕事でも「チャレンジする、失敗する、責任を持つ」はできるが、タイミングは運だ。会社の都合のことが多い。もっと気軽に体験できるのが、前田デザイン室の『マエボン』プロジェクトだ。

雑誌は読むより、作る方が力になる。


画像8

高校生のGOくんは、Mac買ってはじめてイラストレーター使って入稿した。彼以外にもzoomで経験の浅い人を、プロがサポートするという素敵なシーンがたくさん生まれた。


僕がこれまでの人生で最も仕事力が伸びたのは、任天堂の会社案内の制作。企画、進行、調整、デザイン…総合力があがった。


僕はたまたま運が良くて、会社案内の仕事についた。同期からも羨ましがられた。仕事でそういう機会を待っていたらいつの間にか年を取ってしまう。「前田デザイン室」では、そういう機会を提供したいと常々思っている。


苦しいことも多いけど、苦しみはやり遂げた後に「楽しかった」に変わるのである。


『マエボン2』を作ります。

画像7

満を持して、『マエボン2』プロジェクトがスタート。

テーマが「失敗」、青山ブックセンター本店での販売ということだけ決まっています。

これまで前田デザイン室でチャレンジしてきたメンバーたちが、進化してきた。いろんな才能が見つかった。前田デザイン室のスタークリエイター勢揃いの今『マエボン2』を作ったらどんなものができあがるか?、どんな新しいことができるか?、どんな反響があるか?、どんな新しいクリエイターが才能を発揮するか?、どんな助け合いが生まれるか?、どんな出会いがあるか?…書き尽くせない。


とにかく、今から楽しみで仕方ないのである。


前田デザイン室・室長 前田高志





バナーイラスト:セキト@ピンザッカ商會

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?