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デザイナーの「こんなこと考えてたのか」 を僕は読みたい。 #勝てるデザイン

僕は、高校時代に弓道をやっていて、休みの日も弓道場にでかけた。

的に当たるか、当たらないか。単純明快に勝敗が決まる競技に夢中になった。的に当てるには、体だけでなく、心が整っていることが必要だ。この時から身体を使うことよりも「心」を使うことの方が好きだったんだと思う。

もうひとつ無中になったことがある。

それは、人の心の中を知ること。同じく高校生のころ、松本人志さんが書いた「遺書」を読んだ。テレビで見てた印象しかなかったから「松ちゃんはこんなこと考えてたのか!」とびっくりした。すごい辛口でストイックな姿勢な内容だった。僕は「心の中」に興味を持った。そこから、知っている人を漁り出した。島田紳介とか、ビートたけしとかお笑い芸人が多かった。やっぱ、テレビとのギャップなのかな。

「こんなこと考えてた」を追いかけているうちに、今度はビジネス書に移行していった。ビジネスに興味があるわけではなく、人の内面にもつ思考や想い。その人の心の中を覗き見ることにたまらなくゾクゾクした。

大人になり、僕は、デザイナーになった。どうせデザインを始めたんだから、少しでもうまくなりたかった。デザインとつく名の本やセミナーを漁った。広告批評やブレーンのインタビューは面白かった。心の中が見えた。書籍になっているトップデザイナーの本はお恥ずかしながら当時ついていけなかった。(今も怪しい)

あの人の「こんなこと考えてた」がもっと読みたい。

有名な人だけじゃなくていろんな人の心の中が知りたかった。そんな中、インターネットの普及で、ブログブームがきた。そんなに知られていないデザイナーさんのブログが好きだった。でもデザインに対する考え方はほとんどなかった。

任天堂を辞めてから、僕はブログを始めた。僕は僕が読みたいブログを目指した。決めたのは「心の中」をぜんぶ出すこと。気持ちも考えも。「こんなこと考えてた」を自分でやり始めた。

その延長上に、僕の初めての著書『勝てるデザイン』(幻冬舎)がある。

自分が20代の頃に読みたかった「心の中」を追いかけていたら、ここにたどり着いた。僕が20年考えてきたことをなるべく偽らず、背伸びせずに書いた。誰かにとっては違うかもしれない。それでいいの。それぞれのデザインがあるから。その意見を聞いて、アップデートし合うのが理想だ。

他のデザイナーさんの「勝てるデザイン」を読みたい。「勝てる」じゃないかもしれない。こういう本が世にもっと出てきたらいいなとほんとに思う。それで語り合いたい。芸人さん同士が飲みながら朝まで語り合うお笑い論のような。

この装丁の「前田高志」名前はすごい大きく書かれている。

「〇〇のデザイン」「〇〇〇〇」

違う人の名前になったバージョンが出てくる未来を想像している。


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