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どれくらいのアスレティックトレーナーがCatastrophic Event(悲惨な出来事)に遭遇するのか

また久しぶりの投稿になってしまいました…

今回は"Prevalence and Outcomes of Exposure to Catastrophic Events Among Athletic Trainers”という論文を紹介します。

ATが壊滅的な出来事(緊急事態)にどのくらいの確率で遭遇して、その出来事がどのような影響を与えるのか。という研究でした。

ちなみにCatastrophic Eventsというのは大惨事、壊滅的な出来事、悲惨な出来事という意味らしいです。
簡単に言うと『命に関わる緊急事態』と言う意味になりそうですね。

それでは内容を見てみましょう👀

研究内容

NATAのアスレティックトレーナー9881名にアンケートのメールを送り、そのうちの1007人から回答を得られたそうです。

回答率は10.2%となかなかの低さですね笑

回答してくれた人のATとしての経験年数はこんな感じです。

そして勤務先はこんな感じでした。
Military(軍隊)があるのに驚きでした、アメリカのATさんは軍隊でも働いているんですね!

アンケートの回答結果からは以下の通りでした。
1007 人のうち 518 人 (51.4%) の AT が運動競技中に壊滅的な事故にさらされたアスリートのケアを提供したことがある。
そして、Catastrophic Events(悲惨な出来事)を経験したATは経験していないATに比べて自身の仕事の達成度を低く評価している。というのも記載がありました。

救急科の看護師は、他の科で働く看護師や外傷を担当しない看護師に比べて遥かに高い割合で燃え尽き症候群になるという研究もありました。(2)

Catastrophic Events(悲惨な出来事)の原因は…
心臓(30.7%)、頚椎(30.7%)、脳と頭部(20.8%)でなおかつ、これらのほとんどの出来事はfoot ball選手に発生していたようです。

Catastrophic Events(悲惨な出来事)は、アスリートのケアに携わる人々に重大な影響を与える可能性があります。という結果が出ていました。

☁️最後に
俗に言う"緊急事態”へ対処する準備はできていますか?
EAP作ってますか?AEDの場所は把握してますか?
緊急事態が起きた時に現場に配置されている人間がどのように動き連携を取るのか明確になっていますか?

"起きる可能性が低いから"
"まだ起きていないから"
だから準備しなくて良いではないんです。

本文にもありましたが実際に起きてしまった時に多くのATが「もっと他にできることがあったのではないか…」と考えるようです。

選手が亡くなった時に「ごめんね、準備した方が良いってわかってたんだけどできなかったよ」って伝えられますか?

起きないかもしれないこと(緊急事態)に対しての準備や使わないかもしれないもの(AED)への投資をするのは難しいものです。

こういう地味な仕事に対してこそ現場の人間が真摯に取り組んでいかなかればなりません。
起きてしまった時に後悔しないためにも最善の準備をしましょう。
悲惨な出来事が起きないように予防し、起きた際には最善の対処ができるように
「スポーツの現場で命を落とさないための準備」大切です。

📚文献
(1)Estock P, Simon JE. Prevalence and Outcomes of Exposure to Catastrophic Events Among Athletic Trainers. J Athl Train. 2018 Nov;53(11):1098-1102.

(2) Mealer M, Burnham EL, Goode CJ, Rothbaum B, Moss M. The prevalence and impact of post traumatic stress disorder and burnout syndrome in nurses. Depress Anxiety. 2009;26(12):1118–1126.


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